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昭和史1:帝銀事件③ [史]

前々記事(帝銀事件①)、前記事(帝銀事件②)の続きになります。

捜査の目は第731部隊に向いていたはずでは?

これを考えるにはその時代の背景を知る必要があると思う。
帝銀事件の起こったのは1948年、日本はGHQの占領下であった。
そして731部隊の事。











【GHQ】(連合国軍最高司令官総司令部 General Headquarters)
1945年8月14日のポツダム宣言受諾後~1952年4月28日迄日本はGHQの占領下におかれた。
GHQの主な政策として象徴天皇制、戦争放棄、財閥解体、農地改革、学制改革、言論の自由、宗教の自由、外地などの領土剥奪等があった。
その中の1つに東京裁判も含まれていた。
東京裁判(極東国際軍事裁判)は1946年(昭和21年)~1948年(昭和23年)の刑の宣告までの約2年半。1945年9月より東條英機等39名のA級戦犯の逮捕命令が出る。

東京裁判と言えばA級戦犯についての本などがよく出ているのが、A級と言うくらいだからもちろんB級、C級もある。
訴因として
第1類 平和に対する罪 1~36項目
第2類 殺人及び共同謀議の罪 37~52項目
第3類 通例の戦争犯罪及び人道に対する罪 53~55項目

A級戦犯として、関東軍の参謀長等をつとめた東条英機、板垣征四郎、小磯国昭などは起訴され、絞首刑、終身禁固刑などの判決を受けている。A級戦犯は上部の指導者が多いが、B級、C級で731部隊(別名石井部隊)の石井四郎の名がない。人体実験を行ったと言われる731部隊の部隊長である石井四郎の名がないのは不思議に思う。

【石井四郎】関東軍防疫給水部長、731部隊の創設者。天才にありがちなかなりエキセントリックな人物だったらしい。「石井式濾過器」(戦地で尿や汚水を濾過し飲料水に)を発明した功績あり。東京裁判での戦犯容疑を受ける。満州より帰国後偽の葬儀まで行っている。

731部隊は敗戦が決まるとすぐに満州平房の本部を爆破、資料の焼却を行い、日本に逃避。帰国できなかった中にはロシアの捕虜などになった人々も多々あったらしい。東京裁判でロシアや中国側より731部隊の事が戦犯として追求されるが、GHQ側は無視。それどころか戦犯免責。


帝銀事件の犯人はGHQのホーネット中尉、類似事件ではパーカー中尉の名を口にしていたらしい。警察はGHQを調べるとホーネット、パーカーはGHQの防疫部の実在の人物だと判明。しかし、ホーネット中尉を調べようとした所、直前に本国に帰還させている。
その前に平沢のアリバイ調べの時に次女と仲良くしていたエリーという軍人が帝銀事件当日に平沢邸に滞在していたらしいので調べようとしたが、その時も直前にエリーは本国帰還。
GHQが画家の平沢貞通に恨みがあったとは思えない。
それどころか平沢貞通犯人説の後押しをしていたらしい。

米国はその当時細菌研究は他の国に比べ遅れていたらしい。噂の731部隊のレベルの高い資料を欲していた。石井四郎は敗戦直後の日本への逃避時に資料の一部持ち帰っているとの噂があり、GHQは資料の提出と戦犯免責の契約をしていたらしい。契約をしている今、帝銀事件の件で731部隊のしていた事が明るみに出てしまうと、契約を結んでいるGHQは困った事になる。

そんな時警察の名刺捜査班が連行した虚言癖のある誇張性癖の平沢貞通という人物は好都合な人物ではなかったか。

平沢貞通は東京地裁での公判では自白を翻し無罪を主張。しかし一審死刑判決。東京高裁で控訴棄却、最高裁で上告棄却、死刑が確定。17回の再審請求、3回の恩赦願いも受け入れられなかった。しかし代々の法務大臣は死刑執行命令にはサインはしなかった。1987年医療刑務所での病死後も養子と支援者が名誉回復の為再審請求を続けている。

3回に分けて書いたこの帝銀事件の記事、“らしい”“噂”“説”という言葉が多く使いました。なぜなら、色々な本、ネット上での記事を読んだり、したけれど、やはり当時の資料全部は明るみにでていないだろうし、書いた人達の考えも入っているだろうと思ったので、私としては、断言したくなかった。私自身本当は誰が真犯人?って思っている。
ネットで読んだ記事には“歯科医ではないか?”という意見もあった。
事件時に犯人が言った「歯の琺瑯質を痛める」という言葉より、歯のエナメル質を“琺瑯質”と呼ぶのはある歯科大の人達だけ。という意見より。その大学の教授、生徒ではないか?という。

結局真犯人は謎。


【参考】

帝銀事件■松本清張 金井貴一.JPG



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