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京極夏彦■鉄鼠の檻 [書]

京極夏彦■鉄鼠の檻

京極夏彦■4 鉄鼠の檻●講談社ノベルズ.jpg


京極堂シリーズ4、『鉄鼠の檻』です。私の中で1、2を争う程お気に入りです。でもね、重たい。なんせ、
鉄鼠の檻withショッカー-1.jpg

5cmあります。電車の中で立ったまま読むには重たいけれど、読んでしまう程面白いです。

内容は序章で目の不自由な按摩師の尾島佑平が仕事の帰りの雪道での出来事。
「拙僧が殺めたのだ」
から始まります。目が不自由なので足元にある物体がわからずにいると、そう言われたのだ。
最初の登場人物は、またもや探偵・榎木津礼二郎の軍隊時代の部下である、骨董屋・待古庵の主・今川雅澄。まず今川は見た目に特徴のある人物である。太っていないがずんぐりとしていて、貫禄があり、顔は立派な鼻(原作では樽噉鼻・・意味はわかりませんが、樽という文字が入っているのでかなり丸目な横に張った鼻かな?)、団栗眼、そして蚰蜒(げじげじ)眉毛、少ししまりのない厚い唇、濃い髭、そして、顎が殆どない。不惑を過ぎれば味のある大商人になりそうな見た目らしい。その未来の大商人、今川は冬の雪深き箱根の老舗旅館“仙石楼”に商売の為滞在していた。だが、待ち惚けが5日目になっていた。今川は部屋から出て階段を降り大広間に行くと、すっかり馴染みになった老人に挨拶をした。老人は仙石楼の居候だという。名前は久遠寺嘉親と名乗った。久遠寺は『姑獲鳥の夏』の久遠寺醫院の院長。あの事件で家族を亡くし、全てを処分し、都落ちしていた。今回の話ではこの久遠寺老人が、中々いい味を出しています。今川と久遠寺は雪深き情緒ある仙石楼の庭を眺めながら、色んな事を話し、碁を打つことにした。静かなので、気温が上がって雪が溶け、木から落ちる音が時々耳に入るのみだった。
次の登場人物は絵になるような雪景色の中黙々と歩く二人。一人は「實禄犯罪」というカストリ雑誌の編集兼カメラマン・鳥口守彦、二人目は「稀譚月報」の編集・中禅寺敦子。稀譚舎のカメラマンが急病で倒れたため急遽鳥口にお呼びがかかったのだ。取材先は箱根の寺だという。道すがら話を聞くと、どうも普通の寺ではないらしい。その時長身の体格の立派な若い雲水とすれ違った。敦子はこれから取材に行く明慧寺の僧かと思い、呼び止め尋ねた。答えは旅の雲水との事だった。そして鳥口は普通の寺ではない理由を聞きそびれてしまった。そして宿泊予定の仙石楼に向かった。仙石楼には今回の企画者の飯窪季世恵が先に来ているはずだ。仙石楼に到着した二人は仲居より飯窪が体調を悪くし、部屋で臥せっていると聞く。部屋に案内される途中、鳥口は襖の開け放った広々とした座敷を覗くと、絵になる構図があり、見惚れてしまっていた。敦子がその様子に気付き中を覗き、碁を打っていた久遠寺老人をみつけ、声をかけ挨拶をする。鳥口は部屋に入ったが、さっきの構図が気になり広間に戻り、今川と久遠寺に自己紹介をし、写真の被写体になってくれるよう頼み、許可をもらい、撮影した。敦子も交えお茶を飲みながら今回の取材の話をした。修行中の僧の脳波の測定という企画があり、それに先立っての取材という事だ。そこで、先ほどの雪道での話の普通の寺ではない理由を聞いた。明慧寺は、敦子の兄、京極堂こと“中禅寺秋彦も知らない寺”との事だ。京極堂は全国津々浦々の神社仏閣に通じているため、周囲の人間は彼の知らない寺はないと思っていた。しばらく話をし、鳥口は席を立ってアングルが上がった時、庭が先ほどと何かが違う事に気付いた。庭に黒い塊があった。
―あれは誰だ?
漆黒の衣で結跏趺坐した僧侶だった。久遠寺老人が縁側の廊下から僧侶を見、「あの坊主は死んでおる」と判断し、敦子が現状を保持するために庭に降りることを止めた。そして警察を呼ぶこととなった。
その頃敦子の兄・中禅寺秋彦は、仕事で箱根に来ていた。金満家の買った土地から、土砂に埋まった蔵が発見され、その中身が和書、漢籍、巻物や経典のようなものだったので、京極堂に出番が回ってきたのだ。今回は鑑定に時間もかかるとの事で、妻の千鶴子も同伴することにしたのだ。同伴するが京極堂は仕事なので、千鶴子の話し相手に小説家・関口巽の妻・雪絵にお呼びがかかり、ついでに関口も誘い女房孝行の旅行となった。
この二か所の人物達の合流には理由があった。久遠寺老人が探偵を呼んでしまったのだ。探偵とは薔薇十字探偵社の榎木津礼二郎だ。榎木津は快諾したらしく、箱根に向かっているはず。榎木津が来るという事はこの場が無茶苦茶になると同義語なので、鳥口が軟禁状態の中から抜け出し、箱根に居るはずの京極堂・中禅寺を呼び、榎木津の暴走を阻止しようとしていたが、結局中禅寺は仕事で不在だったため、宿でボーっとしていた関口を連れ仙石楼へ戻った。

ここまでが話のマクラかな。ここからは話の舞台が明慧寺に移ったり、色々な謎解きワードが出てくるので、控える事にします。



そうそう、話は変わりますが、この京極堂シリーズを久々に読み返した理由の一つ、河童と菅原氏の関係が載っている箇所、みつけました。それは、後日その話の紹介の時に報告いたします。







鉄鼠の檻 (講談社ノベルス)

鉄鼠の檻 (講談社ノベルス)

  • 作者: 京極 夏彦
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1996/01/05
  • メディア: 新書



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