SSブログ

京極夏彦■塗仏の宴  [書]

京極夏彦■塗仏の宴 
     宴の支度、宴の始末
これは京極堂シリーズの6と7です。5の『絡新婦の理』は『河童』の記事で少し紹介したので飛ばします。
これは2冊にするには、ちと長いです。支度で613ページ、始末で633ページ、計1246ページです。まぁ1冊にされてしまうと通勤電車で立って読むには腱鞘炎覚悟ですね。手首と腕、両方やられます。
この話は、かなり入り組んでいます。何度も読んでいるのでさすがに関係性は頭に入っているので、スムーズに読み進めますが、別の話だと思っている内容が重なっていたり、騙していると思っていたら、騙されていたり、どんでん返し続きです。これから読む方は心して読んでください。まぁ読んでいる時ってのは、話に入り込んでいるのでわかりにくいですが。

京極夏彦■6 7塗仏の宴 宴の支度 始末●講談社ノベルズ.jpg


まずは小説家・関口巽の記憶から始まります。淵脇という若い警官と堂島という50代の郷土史家と名乗る人物と異空間のような所に居た記憶。
関口は5月の下旬に赤井書房のカストリ雑誌「實禄犯罪」の編集長・妹尾より、調査と原稿の依頼を受けた。丁度いつもの如く体調不良で腐っていた上に家計も火の車が見えかけていたので、気分転換の必要性も感じていた為、依頼を引き受けた。妹尾の話によると、赤井書房の社長の知り合いの光保公平という元警官からの相談だったという。光保という人物は戦争で大陸に行く前は警官をしており、大陸より戻った時戦争前に赴任した“戸人村”に行ってみようとした。元々僻地ではあったが、12年経ってもバスも電車も通っていなかった。それどころか、村は影も形もなくなっていた。無くなっているとはいっても、物理的に無くなり、山になったわけではなかった。建物も道も残っている、でも、村の名が違う。隣村になっている。戦争を挟んで住所表記が変わった分けではない。光保の記憶にない老夫婦が住んでおり、70年そこに住んでいるという。光保は役所や郵便局を調べたが、“戸人村”は存在していなかった。そして光保は自分の頭がいかれてしまったのかと思ったらしい。そこで妹尾がある古新聞の記事を出した。見出しは
静岡縣の山村で大量殺戮か―。
未確認情報とのことだが一箇村全員、忽然と消えてしまった。その記事のH村は光保が自分の妄想の中だけの村と思っていた戸人村の辺りだった。関口は光保と会い、その韮山の戸人村の事を聞いた。村の中心の佐伯家には、人に似た死なない生き物がおり、それは“くんほう様”と呼ばれていた。そして光保は佐伯の惣領息子・亥之介とその“くんほう様”を見せてもらう約束をしていた。
そして場面は変わり、『狂骨の夢』の登場人物一柳朱美は沼津に居た。松林の植わる海に居た。そして、自殺未遂を目撃し、声を掛けた。風采の上がらない村上兵吉という男性だ。その村上は話していると、もう自殺は諦めたようだった。そして今後の段取り等の話をしていた。それなのにまたもや、自殺未遂を起こした。結局病院に入院した。それとは別に沼津は最近落ち着かなかった。騒ついていた。成仙道という新興宗教が目につく。そんな折、朱美の夫・史郎の恩人の尾国が立ち寄った。尾国は、村上兵吉は当り屋、詐欺だと言う。だが、尾国に村上の過去の話をしていると、僅かだが尾国が微妙に動揺しているのが見て取れた。そこで、朱美はこの付き合いの長い恩人が“誰だ?”という疑問をもった。なぜか、この恩人より村上の方を信じている自分に気付く。村上が3度目の自殺を図った時、成仙道の刑部が病院に村上を訪ねてきた。村上が入会している「みちの教え修身会」はいんちきの霊感商法だだと言い、成仙道への勧誘だったが、その時成仙道の楽隊のようなものが町におり、落ち着かない苛々する音を発していた。
関口は正月に京極堂で宮村香奈男と会った。その後3月の初旬に稀譚舎の帰り、正月に話題になった加藤麻美子という女性と一緒に会った。そして麻美子の祖父・加藤只二郎の入っている「みちの教え修身会」についてのはなしを聞く。
次は中禅寺敦子。敦子韓流気道会の道場に取材に行き、記事を書いた。敦子は公平な目で記事を書いたつもりだが、道場の人間に襲われた。敦子を襲う前気道会の連中はある女性を追っていた。結局その女性と二人怪我をした。その女性は話題の占師華仙姑乙女だった。華仙姑の話を聞き、敦子は誰に相談しようかと悩んだ挙句、探偵・榎木津礼二郎に相談をした。
刑事・木場修太郎。木場は行きつけのバー“猫目洞”の主・お潤の友人の三木春子の相談を受けていた。春子は迷っていた。春子は通っていた庚申講で一緒だった工藤という男性より監視されているという。なぜか春子の行動を細部漏らさず手紙に書いて送ってくるらしい。木場が相談に乗ってくれない場合、春子に最近近づいてきている藍童子に相談をするという。結局木場は春子の相談相手となり、調査を始めた。始めたが、わからないことが多すぎたので、京極堂に説明を聞きに行く。そして、木場は消えた。
次は織作茜。「絡新婦の理」の登場人物で、織作家の次女で唯一の生き残り。茜は土地家屋を売る為、羽田製鐵の顧問・羽田隆三と会っていた。色々な話の末、羽田の仕事の手伝いをすることになり、第一秘書の津村と下田に出かけ、殺されてしまう。

ここまでが“支度”です。かなり簡素な説明ですが、これ以上書くと、始末に迄行ってしまいますので切り上げます。謎を残しながら、ある程度登場人物は書きたかったんので、長くなってしまいました。

報告です。河童と管原氏との関係、“支度”で載っていました。関口、宮村香奈男と京極堂の会話の中、272ページに“ひょうすべ”と“河童”の説明があるのですが、菅原氏は“ひょうすべ”を使役していた。としっかり載っていました。多分私はここの文章を憶えていたんだと思います。まぁ、読み返しの最初の目的の文面は見つけましたが、ここまで読んだので、現在出ている最終巻の『邪魅の雫』迄読み返しますよぉ。『邪魅の雫』は『鉄鼠の檻』と並ぶほどお気に入りですから。





塗仏の宴 宴の支度 (講談社ノベルス)

塗仏の宴 宴の支度 (講談社ノベルス)

  • 作者: 京極 夏彦
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1998/03/27
  • メディア: 新書




塗仏の宴 宴の始末 (講談社ノベルス)

塗仏の宴 宴の始末 (講談社ノベルス)

  • 作者: 京極 夏彦
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1998/09/17
  • メディア: 新書



nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。