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京極夏彦■巷説百物語 小豆洗い [書]

京極夏彦■巷説百物語 小豆洗い
●2021.08.12

京極夏彦■巷説百物語●角川書店.jpg


先月「遠巷説百物語」を読んだ後、久し振りに“巷説百物語”シリーズを最初から読み直していました。最初のこの「巷説百物語」が平成11年(1999年)に発行されています。なので読んだのが20年以上前になるので、こりゃ~忘れているなと思い、「了(おわりの)巷説百物語」を読むまでにしっかり頭に入れなおそうと、それに向けての読み直しです。私の読書は1回目は勢いで読み、2回目でもう一度細かい所をチェック、そしてもう一度改めて読み直す。まぁ1回目で気に入らないとそこまで読みませんが。このシリーズに関しては“重い”というリスクがあったので、読み返しをしていなかった。今回は頭に入れ込みたいという思いで鞄が重くなるのを覚悟で読んでいました。取り敢えず通しで「西巷説百物語」迄勢い読みました。明日からもう一度「遠巷説百物語」です。
頭に入れ込むなら、書くのもいいかと思いました。
1作目は20年以上前だしいいかな?

京極夏彦■巷説百物語 小豆洗い●角川書店.jpg



■小豆洗い
登場人物
●御行の又市
●山猫廻しのおぎん
●事触れの治平(備中屋徳右衛門)

激しい雨の中の山の中の小屋での話です。
僧の円海が寺への帰り道激しい雨と遭遇し難渋している所に御行姿の男(又市)より「この先の橋は流されてしまった。この下の山小屋で雨をやり過ごした方が良い」と声を掛けられた。悩んだ末円海は山を下り山小屋へなだれ込むように勢いよく山小屋の扉を開けた。そこには、先程の御行姿の男の他十人程の男女が雨宿りをしていた。夜をやり過ごす為、江戸で流行りの百物語をすることとなった。
山猫廻し(傀儡師)が10年程前の話を語り始めた。自慢の姉様“りく”の話だった。姉様は隣の郷のお大尽の息子与左衛門への嫁入りが決まっていた。婚礼の前日姉様と山へ行った。途中、休もうと思い姉様は大きな石の上に座っていた。不吉な予感がし姉様を見ると硬直していた。視線の先に山猫がいた。怖くなり、動けなくなってしまい、随分と長い間そうしていた。刻が過ぎ、気が付けば姉様は倒れていた。
翌日の婚礼の日、姉様は綺麗だった。が一寸目を離したすきに、消えてしまった。真ん中の主役の花嫁が誰一人と気付かずに消えた。そして大騒ぎになり、山狩りにまでなった。姉様は居た。祝言の前日出掛けた山の中腹の大きな石の上に座っていた。そして担ぐようにして連れ戻された。が、また消えた。また石の上に居た。十日ほど経った頃おぎんは夜中姉様のもとに行き、どうしたのか聞いた。姉様は言い交した男がいると。おぎんは両親に注進し、縁組は破談になった。しかし探せど姉様と言い交した男はみつからなかった。結局両親は、石の上に小屋掛けをし、朝晩食事を持って行ったが、結局食べずに姉様は餓死してしまった。
同じ小屋にいた諸国の怪異譚を聞き集めている山岡百介は、なぜか坊主の円海が何かに引っ掛かっているようだと感じた。そのとき
しょき。
微かな音がした。円海が怯気りとした。御行が外を見て米を磨ぐような、米というより、籾殻、小豆を磨ぐような音がしたと言った。そこから、小豆磨ぎ婆だ、小豆洗いの話になった。
そこで初老の商人・徳右衛門は小豆洗いは恨みを残して死んだ小僧がしょりしょり小豆を磨ぐのだと。手前は小豆洗いの雇い主だったと言った。そして徳右衛門の語りが始まった。
徳右衛門は五十を過ぎても子がなく五年前に番頭を養子に迎え、隠居した。
その頃の番頭は“辰五郎”といった。辰五郎はよく働く、懸命に仕事をする。それなのに丸切り信用せず手前の身代をかっ浚う気だと思ってしまった。
そして“弥助”という新米の小僧を可愛がった。弥助は十三くらいだったが、少々足りない小僧で、五つか六つ位の純朴な子供だった。そういう子供だったので身代を狙う事もない。そして側に置いた。
奉公人は得心できなかった。懸命に働いても見向きもされなかったのだから、意見もされた。意見をする奴は怪しいと悉く馘にしてしまった。奉公人は半分になった。
弥助には変わった特技があった。升に一杯小豆を盛ると見ただけで何粒かぴたりと当てる。殿様の前で座興し、褒美ももらい、いずれ弥助に跡目を譲ると言ってしまった。そしてお祝いとなって殿様の前で量った小豆を弥助が磨いで来ると言ってそのまま弥助は消えてしまった。そして大川端から骸が揚がった。
その夜から鬼魅の悪い唄が聞こえるようになった。弥助の声だった。パラパラっと音がした。軒下に赤小豆が。
小豆磨ごうか―――。
人獲って喰おうか―――。
しょりしょり―――。
小さな小僧が小豆をばら撒き、そして井戸に消えた。
翌朝井戸を調べたら、弥助の持ち物と赤小豆が見つかった。
弥助は小豆を持ったまま石で打ち殺され、その後井戸に放り込まれた。
下手人は辰五郎だった。辰五郎は死罪になった。
手前の強欲のせいで働き者の番頭と小僧を死なせてしまい、目が覚めた。二番番頭に身代を譲り、諸国を巡りふたりの菩提を弔っていると。まだまだ成仏できないようで、行く先々で小豆を磨ぐ音が聞こえるんでございます。と。
いきなり大声を上げて円海が立ち上がった。その場に居た全員が肝を潰した。
意味不明の言葉を喚き散らし衣を振り回したので、蝋燭の灯が消え真っ暗になった。
「おのれ、貴様たちは何者だ、何の企みだ」
「そうじゃ拙僧じゃ、この儂じゃ」
円海は怒鳴った後、慟哭し声を上げ暴れ、やがて静かになった。


ここ迄が又市一味の仕込み。
この続きは本作を読んでください。

この本には後
●白蔵主
●舞首
●芝右衛門狸
●塩の長司
●柳女
●帷子辻
が掲載されています。
本当はこの「小豆洗い」をもっと簡単にまとめ他の作品もまとめるつもりだったのですが、ついついダラダラ書いてしまいました。
沢山あるので今後続きを全てかけるだろうか?





残念、文庫の中古しかありませんでした。
なので気が向いたら、続きを書くかもしれません。


今日は沢山雨が降りました。
V6の新作を
雨→https://youtu.be/vnZ9uN6uQPw


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