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京極夏彦■狂骨の夢 [書]

京極夏彦■狂骨の夢

相変わらず京極シリーズ読み返し中です。
次が『狂骨の夢』
京極夏彦■3 狂骨の夢●講談社ノベルズ.jpg


今回の話、まずは釣り堀いさま屋の主、伊佐間一成。榎木津礼二郎の軍隊時代の部下です。周りから瓢箪鯰と言われる、飄々とした人物。元々は旅館の息子だったが、終戦後の復員船の中でマラリアに罹り生死の境を経験し、色々と悟ることがあったらしく、就職はせずに、実家の旅館の生簀をそのまま使い、釣堀屋の親父に収まってしまった。釣堀屋は忙しくないので、お客がいても、そんなに仕事はなく、主はだいたい趣味の笛を吹いているか、何かのオブジェを制作している。そして釣堀屋を始めるに当たって勉強した釣り迄趣味になっている。(経営は勉強していない)その伊佐間が趣味の釣りで方々を巡ってたどり着いた逗子での話。逗子の海岸で海に向かい花、線香、水を撒いていた女・朱美と出会い、風邪の兆候が出ていた伊佐間は朱美の家に誘われ、食事をしながら、朱美のこれまでの人生の話を聞いた。
そして場面は変わり、次の中心人物は、探偵・榎木津礼二郎と刑事・木場修太郎の幼馴染の降籏弘の物語。降籏は木場と同じ小石川の歯科医の息子として生まれた。関東大震災や戦争を経験した為、トラウマを持っていた。トラウマを克服する(自分を見極める)為、彼は勉強し、精神神経科の医師になった。なったが、半年も持たなかった。で、現在も自分を見極める為、教会で居候をしている。教会には牧師の白丘亮一が居るが、迷える子羊を導くはずの白丘自身が迷っている。居候の降籏には役割があった。信者の懺悔を聞くこと。懺悔とは罪の償いと赦しを求める事。私はこの話を読んで初めて知ったのだが、懺悔は洗礼後の罪を赦免する<告解>という秘蹟の一つらしく、それはカトリックでは認めていて、プロテスタントは秘蹟を認めていないそうです。降籏の居る教会はプロテスタントなので、本来懺悔はない。だが信者が求め、牧師は拒まず受け入れている。そして<告解>ではなく、答えのない身の上相談として捉えている。そして、信者でもなく、信仰も持っていない、宇多川朱美という二十代半ばの女性の話を聞くことになる。白丘は触りだけを聞き、降籏の分野だと判断し、降籏にその女性の話を聞いて欲しいと言った。宇多川朱美の話は、人殺しをした、死人が生き返り舞い戻って来た、そしてまた殺し、首を切った、そして自分の記憶障碍(しょうがい)の話になり、夢の中で自分が骨になっていく話だった。降籏はこの話を聞き、自分のトラウマである“骨”というワードに反応。そしてなぜか白丘迄が何かに反応していた。
次の場面は小説家・関口巽、関口は新進気鋭の小説家・久保竣公(魍魎の匣の登場人物)の葬式に参列していた。その後の酒宴の席で稀譚社の社員小泉珠代に作家の宇多川崇を紹介される。どうもこの大御所作家・宇多川崇より希望の紹介であった。そして同じ稀譚社の中禅寺敦子が軍鶏鍋屋に二人の席を取った。そして宇多川は色々と話し、本題に入った。どうも関口の今迄の経緯を聞いていたらしく、中禅寺敦子と関口に相談があったようだ。相談内容は宇多川の年の離れた妻の話だった。宇多川は一度結婚しているが早くに死別しており、その間戦争だ、何だかんだと、結局再婚はしていなかった。そして放浪をしていた時利根川縁で水音がし、何かと思ったら人だったので、救助に向かい、助けたのが意識のない女だった。その時命は助けたが女は記憶を失っていた。女は意識はないが巾着袋を握っていた。その巾着袋に所番地と名前が縫い付けられていたので、それを元に宇多川は調査を始めた。そして調べた内容を女に話聞かせた。話すと何か思い出すらしく、宇多川は夢中になり話した。しかし宇多川が話していない内容があった。それは知ると辛いであろう記憶なので配慮したのだ。その後、伏せていた内容に関連する、復員服の男が自分たちの周りに居る事に気付いた宇多川は引っ越しを繰り返すことになる。そして現在の家は海が近く、海鳴りが聞こえるが、妻は海鳴りが怖いといい、神経症のような症状がでているので、関口に相談したそうだ。そして関口は病院を紹介すると約束しその日は別れた。
そして次の場面は刑事・木場修太郎である。木場は前回の事件で暴走したため、懲戒免職寸前だったが、2カ月で復帰、その代わり課内で一番の年長・長門五十次と組まされた。長門は木場とは反対のタイプだった。おっとりとし、コツコツと確実に仕事をこなしてくタイプだ。木場も本当はマメなタイプだが、長門とは違うようだ。木場の様な豪傑タイプの食指の動く事件はなく師走に入った。最近の木場の日課は新聞を隅から隅まで読む事だ。読みだすと中々くだらない内容が沢山あるが、それに対しての続報なんかがあったりする。最近の木場の気になる内容は、「金色の髑髏事件」というのが神奈川で起きていた。最初金色に光る髑髏が発見され(物は行方不明)、そして次は塗りが剥げたのか普通の髑髏になり、次は肉片と髪がついていた。そして次の続報は長門より齎された。とうとう生首が発見されたのだ。それとは別に木場には仕事があった。葉山の双子山山中で起きた集団自殺だ。男女5人ずつ、計10名が純白の白装束で、自刃に使用した短刀には十六弁の菊花紋がついていたらしい。その中の一人が行方不明者のリストの中から身元が判明したので、家族に話を聞きに行くことだ。そして木場はバカ騒ぎがしたくなり、神田の薔薇十字探偵社に行く。そして、そこで、関口と中禅寺敦子と遭遇する。宇多川は探偵にも依頼をしていたので、この二人は依頼人代理として探偵社に来ていたのだ。

と、ここまでがバラバラな場面紹介です。これがどう繋がっていくかがメインのお話です。

少し前に読みたい本を買っているのですが、京極堂シリーズを読み始めてしまったので、中々そっちに時間が取れていません。新しい手芸の方にも手を出したくて道具を買ったけれどそっちも手付かずです。手付かずなのに、この記事は書いているという・・・。まぁ、これは備忘録も兼ねているので、ま、いっか。
今、次の『鉄鼠の檻』読んでいます。シリーズの中でもお気に入りなので、何度も読んでいるのに、ワクワクして読んでいます。次は纏めるのは難しいだろうなぁ。




狂骨の夢 (講談社ノベルス)

狂骨の夢 (講談社ノベルス)

  • 作者: 京極 夏彦
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1995/05/09
  • メディア: 新書



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京極夏彦■姑獲鳥の夏 魍魎の匣 [書]

京極夏彦■姑獲鳥の夏
京極夏彦■魍魎の匣

6月に書いた『今昔百鬼拾遺 河童』の記事の時に

そういや最後の一言「河童は菅原姓の人には逆らえない」は確か京極堂シリーズの中で確かあった。確か菅原氏が大工として使役した式神を工事が終わった後、川に流したのが河童となった。とシリーズのどこかに載っていたはず・・・。う~ん、思い出せない、さすがにシリーズ全部目を通すとなると、時間が掛かる・・・。まぁ、「鉄鼠の檻」迄サラッと目を通したのですが見つけることが出来ませんでした。探していたらまたこのシリーズ読み直してしまいそうだなぁ・・・。また見つけ次第どこかの記事で報告します。

と書いていたのですが、結局気になって何度目かの京極堂シリーズ読み直しです。

京極夏彦■ 姑獲鳥の夏 魍魎の匣●講談社ノベルズ.jpg


今から25年前の1994年に発行された『姑獲鳥の夏』、そして翌年の1995年発行の『魍魎の匣』です。当時の私は歴史小説にハマっている頃で、発売当時は知らなかった。いつ頃京極夏彦を知ったのか私自身不明なんですが、読み始めた時にはシリーズの何冊かは出ていたと記憶しています。読んですぐにハマり、出ていたシリーズを一挙に読んでしまいました。ハマる要素はたっぷりあった。まず時代設定が終戦直後、テーマに妖怪、ミステリー、そして文章ですね。私は感性の人ではないので、京極節の特徴である、論理的解説、これが大好物なんです。わからない言葉等は調べたりするのが楽しくって、この分厚いシリーズを何度読み返した事か。昔読み始めた頃いつも電車の中で読んでいたので、自分の勤め先の顧客さんに、「電車でよく見かけるけど、いつも分厚い本を真剣な顔で読んでいるので話しかけるのを控えてしまった」と言われてしまいました。『姑獲鳥の夏』がデビュー作、それも初めて書いた小説だと知って衝撃を受けました。京極夏彦さんは私と年齢もそんなに違わない。1963年生まれなので、私より一つ上(学年は2つ上)。それで、この知識量。何なんだ、この人?と思いました。頭の中を見てみたい。どんな脳みそしている?記憶のキャパどんなけあるねん!

この2つの作品は映画化、漫画化もされているし、25年前の作品なので内容は知っている人も沢山いると思います。復習のつもりで書きます。

京極夏彦■1 姑獲鳥の夏●講談社ノベルズ.jpg

まずは『姑獲鳥の夏』小説家・関口巽の視点で描かれています。この精神的に不安定な小説家が巷の噂である20カ月も子供を身籠っている妊婦が居る。この事について学生時代からの友人である古本屋京極堂主人中禅寺秋彦と話がしたくて、京極堂へ赴きます。そして京極堂の座右の銘であり、名台詞の「この世には不思議なことなど何もないのだよ。関口君」から始まる化学、心霊、心理学、神経学、宗教、脳科学、そしてこの話の核である記憶についての会話があり、件の妊婦が雑司ヶ谷の久遠寺医院の娘で失踪した婿が関口、中禅寺の学生時代の友人旧姓・藤野牧朗、現・久遠寺牧朗だという事が判明する。失踪しているのが自分たちの旧友だと分かったので、中禅寺は関口に神保町の探偵・榎木津礼二郎に相談に行けと示唆する。そして翌日関口は中禅寺の妹が勤めている稀譚社に寄り、久遠寺医院には婿が失踪する前にたびたび赤ん坊がいなくなるという事件があると耳にし、その後薔薇十字探偵社へ榎木津礼二郎に会いに行く。そして事の次第を榎木津に説明すると、その日相談に来る依頼人が久遠寺であり、件の妊婦梗子の姉涼子であった。榎木津は依頼内容の詳細を聞くのが苦手なので、関口に依頼人の話を詳しい人間が聞いた方が、話が早い、話が佳境に入った頃に颯爽と登場すると言っていたのに、中々出てこなかった上に、現れた後は依頼人涼子に嘘を吐いている、そして関口の事を見知っていると言い、二人が初対面だと言うと黙って部屋に戻ってしまった。その後考えの纏まらない関口は京極堂に再び寄り、丁度来ていた中禅寺の妹敦子と二人に事の次第を報告した。翌日榎木津、関口、敦子の三人で話の舞台“久遠寺醫院”へ。

ここ迄が序章かな。これ以上はいつもの如く読んでいない方のために書くのは控えます。

次に『魍魎の匣』
京極夏彦■2 魍魎の匣●講談社ノベルズ.jpg

この話、映画や漫画もありましたが、アニメや少し前には舞台もあったようです。映画化の時にも、これ、映像化できるの?どんな作品になるのか想像力貧困な私には想像できませんでした。で、一応映画は見に行きました。小説の方のインパクトが強すぎたせいで、実をいうと映画の内容忘れています。美馬坂幸四郎役が柄本明だったのは覚えています。少し前にWOWOWで放送していたので、録画しましたが、まだ見返していません。映像でも想像できないのに舞台化ってどうなっているのか不思議です。まぁ原作ということで小説ではないのでね、舞台映えするように作られているのだと思います。

この話は話の舞台がいくつかに分かれています。
まず今回の中心人物、探偵・榎木津礼二郎の竹馬の友で、小説家・関口巽の戦争に兵役従事していた時の部下である、刑事・木場修太郎が帰宅途中に遭遇した電車での人身事故。偶然その電車に乗り合わせていただけなのに、夜中であったのと、刑事という職についている為やむをえず事故にあった女子高生・柚木加奈子の友人・楠本頼子の話を聞く羽目になった。事故にあった柚木加奈子が運び込まれた病院へ楠本頼子と派出所の警官福本巡査と同行した木場は病院で、慇懃無礼な弁護士・増岡と、自称加奈子の姉である陽子と会った。陽子は元女優の美波絹子で木場の憧れの女優であった。
二つ目の舞台は小説家・関口巽に単行本出版の話があり、出版社に赴いたときに紹介された新進気鋭の作家久保竣公について。そして帰ろうとしていた所に会った中禅寺敦子から最近巷を騒がせているバラバラの死体発見の続報を聞く。そして帰宅すると「月刊實禄犯罪」の編集者兼カメラマンの鳥口守彦が待っていた。鳥口の目的は刑事の知り合い(木場)がいる関口を同伴して、バラバラ事件の特ダネを取ろうと画策していた。そして関口は成り行きで鳥口とバラバラの足が出たという相模湖に向かう。向かうのはいいが、鳥口には致命的な欠点があり、取り敢えず道を間違える。この道を間違えるのが原因で2つの舞台が垣間見えます。一つは迷って何度も回った三鷹にある「穢封じ御筥様」の話、そして二つ目は直撃したにも拘らず撃沈した取材の帰り道偶然遭遇した中禅寺敦子を乗せまたもや道に迷い込んだ先は袋小路になっており、その先にあった箱館(はこの様なやかた)「美馬坂近代醫學研究所」、そこにはなぜか木場修太郎がいた。
この話は私から見ると、木場と楠本頼子の会話、木場と柚木陽子の関係、久保竣公の作品と行動、穢封じ御筥様、美作近代醫學研究所、5つの舞台がそれぞれ少しずつリンクしています。もう少し内容を書きたいところですが、書き進むと読む楽しみがなくなりそうなので、この辺で切り上げます。


姑獲鳥の夏 (講談社ノベルス)

姑獲鳥の夏 (講談社ノベルス)

  • 作者: 京極 夏彦
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1994/08/31
  • メディア: 新書



魍魎の匣 (講談社ノベルス)

魍魎の匣 (講談社ノベルス)

  • 作者: 京極 夏彦
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1995/01/05
  • メディア: 新書



話は変わりますが、京極本、分厚いのでブックカバーが合わないという問題があるのです。合うものがないなら、作る主義の私はブックカバー作りました。


ブックカバー↓


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