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横溝正史■病院坂の首縊りの家-2 [書]

横溝正史■病院坂の首縊りの家-2
巣籠日記 2■3●2021.04.27

昨日の続きになります。
まず序章として、自称「砧の隠居」、金田一耕助は「成城の先生」と呼ぶ著者が昭和48年の地図を見ながらの回想でこの物語が始まります。
次に、昨日紹介した法眼家と五十嵐家の説明。
昨日載せていた法眼家と五十嵐家の家系図をまとめると

2021.04.27■横溝正史■病院坂の首縊りの家●家系図-4.jpg

(字が小さくて見えないと思うのでクリックして大きな字で確認して下さい。)

そして昭和28年、本條写真館の本條直吉が少し前に依頼のあった仕事がどうしても引っ掛かりがある為警察に行ったが、まだ何も事件が起きていないので金田一耕助に話すように言われたと、耕助の居候先を訪問した。
内容は、ある女性に姉の結婚式の撮影を依頼されたので、伺って仕事をした。撮影対象の新郎は身の丈の合っていない紋付き袴を着、肌も露わ。その上花嫁は先程姉と聞いていたのに本人が高島田で裾模様の派手な衣装で椅子に座っている。その上目はトロンとし、何かクスリでも打たれているのではないかと思う様な状態だった。その話を父親の徳兵衛に話すと、何かあってからでは遅い。すぐに警察に報告しろと言われたが、そこに居合わせた本庁の等々力警部に金田一を紹介されたとの事。
金田一耕助は直吉の持参した写真を確認した。写真は白黒だったが、どうも衣装は貸衣装のようだ。花嫁は美人のようだし、手には大粒のダイヤに小粒のダイヤがハート型に囲んだ指輪をはめている。新郎は体格も良く、開けた胸元は胸毛が密集している上に顔は髭だらけ、縮れた髪を長髪。まず獰猛といった見た目。そして写真の中央になぜか南部風鈴がぶら下がっていた。
撮影された場所を確認すると、依頼時は場所を言わず、ここから歩いて15~16分なので迎えを寄越すと。夜の9時に迎えの男がきたが、男に連れられて行くと、直吉も知っている病院坂という名前の由来になった病院で、確か病院は空襲で廃墟になっており、唯一残った横にあった日本家屋も空家だと思っていたが、電気が煌々とついて、その中に連れていかれた。直吉がここは法眼病院だと確認すると、男は法眼家の身寄りの者だと言い、琢也や弥生の名前も出した。
耕助が引っ掛かったのは、琢也のことは“おじさん”と呼び、弥生の事は“おばあちゃん”と呼んでいた事。
直吉が撮影迄の間待たされた部屋には楽器が散乱しており、たぶんJAZZをしている連中だと納得した。JAZZをする連中は髭を生やしているのが多いし、その中には良家の子供も多くいると直吉は認識していた。直吉が撮影の為部屋に入ると、新郎は先程自分を迎えに来た男だし、新婦は写真の依頼に来た女性だった。直吉は普段撮影時着物の乱れなんかも直吉自身がなおすのだが、新郎が自分がなおすから近くに寄るなと言い、その時新婦の状態がおかしいと気が付いた。そして仕事の帰り道、騒ぎながら先程の家に向かう連中と出くわした。連中の話す内容を聞いて、新郎は“ビンちゃん”という。そして新婦は妹の“コイちゃん”だと。
次の日徳兵衛に昨晩の事を話すと、そこは「病院坂の首縊りの家」だとの事。徳兵衛は何か知っているようだが、取り敢えず兵頭房太郎と昨晩の家に様子を見に行ったら、何もかもきれいさっぱりなくなっており、荒れた状態だった。
後日本條写真館にビンちゃんが写真を受け取りに来たが、徳兵衛は悪そうな奴に見えないから、この事は忘れてしまえと言うが、直吉は何かの犯罪に関わっていると嫌なので警察に行ったとの事。

金田一耕助、その時とある依頼を受けていた。中学時代からの親友で風間建設の社長風間俊六の紹介で法眼弥生から、孫の由香利が誘拐されたので探して欲しいと。誘拐犯人からの電話では、営利目的ではない。目的は金ではなく、由香利の体で、名前は「天竺浪人」と名乗った。
その依頼を受けた時、由香利の話から、佐藤冬子という琢也の愛人が、弥生の娘万里子に侮辱され、世を儚み、琢也の終焉の地で首を吊って亡くなったこと。その時遺体を引き取りに来た敏男、小雪兄妹の事を調べたが、わからなかった事。その後弥生に送られてきた「病院坂の首縊りの家」という詩集の内容から敏男ではないかと、出版社等問合せ行方を探したが、見つけることが出来なかったとの事。その詩集の著者は「天竺浪人」だった。

弥生より依頼を受けた時、由香利の写真を預かっていた。そして、先程直吉より預かった結婚式の写真の花嫁と並べ
「由香利ちゃん、さっきの本條直吉君の話がほんととすると、君が一人二役を演じているのか。それともこの世の中に、君とそっくり同じ顔を持ったお嬢さんが、もう一人存在するというのかい」
とつぶやいた。
金田一耕助はその後、冬子が亡くなった事件を知りたくて警察により加納刑事に確認をした。
しかし、耕助の所に弥生より連絡が有り、由香利が戻り依頼を取り下げたいと。連絡より数日後口止め料とも思われる大金が耕助に届いた。
耕助はこの調査から手を引かなかった。天竺浪人の調査を依頼していた、クラブKKKの多門修からは数日後にいいお知らせがあるとの報告もある。そして、一度見ておきたかった由香利を偶然街中で、先日法眼家で会った滋と並んで歩いているのをすれ違った。その時由香利は
「滋ちゃん、あんたのいっていることはようくわかっているのよ。だけどあたしはそのまえに決着をつけておきたいことがあるのよ。決着をね」
その声は堅牢な金属的な決費を秘めた声だった。
耕助は件の法眼家の空家を見に行った。そこには先客があった。成城の先生である。成城の先生はコッソリそこに潜り込んでいたので、誰か入ってきたと思い慌てて押し入れに隠れていたのを耕助がみつけた。その時先生はあるものをネズミの穴からみつけていた。短冊の様な紙に「助けて 由香利」というメモを。
成城の先生との面会後、天竺浪人の調査を依頼していた多門修と待ち合わせ、天竺浪人と思われる「怒れる海賊たち(アングリーパイレーツ)」の山内敏男についての詳細を聞き、キャバレー・サンチャゴに赴いた。そして「怒れる海賊たち(アングリーパイレーツ)」のステージを見、コイちゃん事山内小雪の容姿が由香利に生き写しだと戦慄する。そして、小雪のステージの途中由香利が現れ無言の対決を目にする。

金田一耕助は先日本條直吉に依頼された調査の報告書を本條写真館に持参した。その時直吉は不在だったので、父親の徳兵衛に調査結果を手渡した。その時小賢しい兵頭房太郎がウィンドウに飾っていた法眼家の写真を見、本條写真館と法眼家が長の付き合いである事を知った。そしてその足で高輪署の加納刑事を訪ねた。

本條直吉が帰宅し父から金田一耕助の事を聞いている時、電話が鳴った。先日依頼のあったお嬢さんより、今夜先日の家に風鈴が掛かっているので撮影して欲しいと依頼がある。そして、徳兵衛、直吉、兵頭房太郎の3人で件の家に撮影に出かけた。

病院坂上の派出所に勤務している寺坂巡査は、以前届け出のあった、空家での騒ぎが気になり、巡回していた。そして、その夜、家の中より閃光があり、又何かあるのかと思い、確認しようとした。そうすると奥の方より足あとが近づき懐中電灯をかざすと「怒れる海賊たち(アングリーパイレーツ)」の見習いの加藤謙三だった。
寺坂巡査が中に入って見たものは、本條写真館の3人が撮影している風鈴の様なものが、人間の生首だった。

生首はビンちゃん事山内敏男だった。寺坂巡査はすぐさま高輪署に連絡した。その場にいた金田一耕助と等々力警部も驚き現場にやってきた。
聴取は「怒れる海賊たち(アングリーパイレーツ)」のメンバーと本條写真館の3人。その場に居たメンバー以外の佐川哲也が容疑者となったが、その時哲也は狂騒状態だったので事情聴取ができなかったが、多門修という確かなアリバイ証明があり、容疑は晴れたが、少し前より連絡の取れないコイちゃん事小雪が行方知れずのままだった。
そして高輪署捜査当局宛てに1通の手紙が届いた。それは小雪からの犯行の自供の手紙であり、遺書であった。そして探さないで欲しいとの願いであった。

金田一耕助が山内敏男と小雪の報告の為法眼家の弥生を訪ねた。生首風鈴事件のあった時、法眼家に報告の電話を入れたが、その時由香利と滋が結婚し、アメリカに行った事を聞いていたのでお祝いを述べ、由香利たちがロスアンゼルスに居る事を弥生より聞いた。そして、事件のあらましを説明した時、山内敏男と小雪の住まいにはなぜが指紋が何も残されていなかった事も報告した。

半年後耕助のもとにロスアンゼルスより小包が届いた。その中身は指紋の付いたシャンパングラスだった。

と長々と書いてしまいましたが、これが、上巻です。
横溝正史の作品を纏めるのは大変だわ。ザクっと簡単に書いてしまうと、横溝正史のすごさが伝わらない。
なので、長期休みをいい事に長々とネタバレ書いてしまいました。
明日は雨らしいので、ウォーキングも行けないし、食材の買い物も今日済ましているので、頑張って下巻のネタバレでも書きます。







病院坂の首縊りの家―金田一耕助最後の事件 (1978年) (角川文庫)

病院坂の首縊りの家―金田一耕助最後の事件 (1978年) (角川文庫)

  • 作者: 横溝 正史
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2021/04/27
  • メディア: 文庫



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横溝正史■病院坂の首縊りの家-1 [書]

横溝正史■病院坂の首縊りの家-1
巣籠日記 2■2●2021.04.26

先日古い本を出して読んでいて、文字の大きさの違いの写真を載せていました。
何を読んでいたかというと
2021.04.26■横溝正史■病院坂の首縊りの家.jpg

 
横溝正史の「病院坂の首縊りの家」
上・下巻あります。
金田一耕助最後の事件のこの本、少し前からもう一度読みたかったのですが、本棚の結構奥にあり、重なって収納している本を50冊は除けないと取れなかったので、後回しになっていました。読んだのは多分30年程前かな?おかげで細かい部分は覚えていたりするのですが、殆ど忘れていました。1度読み、もう一度細かい所が気になり、もう一度読みました。(再読の間に別の本を3冊ほど読みましたが)2度読んだら、内容を纏めたくなり、家系図等も作ってみたりしていました。内容を紹介する前に、何といっても登場人物というか、やはり家族構成が重要になってくる。

●法眼琢磨
幕末さる東北の大藩の典医。性格は豪放磊落、奔放逸脱だったようで、知り合いには結構いかがわしい人物もあり。後で登場する五十嵐剛蔵もその一人である。九段で医家として開業
●法眼鉄馬
琢磨の長子として生まれ、幼名銀之助。父親に似ず謹直な性格。
明治14年学校卒業。→陸軍軍医
(明治15年宮坂すみとの間に琢磨が生まれる)
明治17年ドイツ留学
明治21年父親の盟友五十嵐剛蔵の娘・朝子と結婚。
陸軍軍医→陸軍大学の教官。エリートコースを進んでいたが、日露戦争の頃の医療物資の不正の疑獄で貧乏クジを引き、退職(明治40年)。その後
明治42年に法眼病院設立。鉄馬48歳。
(明治36年正妻朝子との間に子供がなかった為、庶子である琢磨を養子縁組)
●朝子
五十嵐剛蔵の娘で鉄馬の正妻。毒にも薬にもならないといわれた女性。子供なし。
●千鶴
鉄馬の腹違いの8つ下の妹。ひじょうな美人。桜井と結婚するが死別(日清戦争で戦死)。弥生の母親。夫と死別後家長の命令で朝子の弟、五十嵐猛造と結婚。
●琢也
鉄馬と宮坂すみの庶子。明治36年に法眼家に養子縁組。弥生と結婚。佐藤冬子を池之端に囲い、小雪が生まれる。冬子の前夫の子供である敏男を可愛がる。詩人でもある。「風鈴集」という本あり。
●弥生
この話の重要人物。
千鶴と桜井健一の娘。千鶴に似て、美人。伯父の鉄馬を尊敬している。猛蔵には懐いている。
従兄弟である琢磨と結婚。万里子を生む。由香利の祖母。頭の回転が速く、決断力・胆力・実行力あり。稀代の才女。法眼病院と五十嵐産業の会長。
●万里子
弥生の娘。法眼病院の内科医三郎と結婚。由香利を生む。母親に似ず大柄で美人とは言い難かったようである。我儘に育ち傲慢。自分の運転する車で崖に落ち死亡。
●由香利
万里子の娘で、弥生の孫。気が強く、自由奔放な性格。五十嵐猛蔵のひ孫の滋と結婚→アメリカに。
●宮坂すみ
法眼鉄馬の妾として、池之端に囲われる。琢也の母親。
●鉄也
由香利の息子。父親は山内敏男?
●佐藤冬子
敏男という連れ子のある山内と結婚、山内死別後敏男を育てる。その後琢也の妾になり池之端に囲われる。生活能力はなかったが琢也の子供小雪を生む。戦後、空襲にあった池之端の家の中で首を吊り死亡。
●小雪
佐藤冬子と法眼琢也の娘。母親の死後、血のつながらない兄敏男と暮らす。「怒れる海賊たち(アングリーパイレーツ)」のヴォーカル。弥生の孫由香利と同じ年。その上容貌も生き写しである。
●山内敏男
佐藤冬子の前夫の息子。冬子に育てられる。「怒れる海賊たち(アングリーパイレーツ)」のトランペット奏者。バンドマスター。通称ビンちゃん。

で、原作の家系図を参考に作った家系図が
2021.04.26■横溝正史■病院坂の首縊りの家  法眼家の家系図●4.jpg


●五十嵐剛蔵
法眼琢磨の同郷の盟友で、年も近い。法眼鉄馬の舅。琢磨と相前後して東京に上京。かなりアクの強い人物で、いつの間にか大官に取り入り、政商に成り上っている。
●五十嵐猛蔵
五十嵐剛蔵の息子。幼時より父の同業者に育てられ、商売のウラやヤミをもくぐってきた。剛蔵に輪をかけてアクの強い人物。自分の姉の夫の妹・千鶴に懸想し、千鶴の娘・弥生をも手玉に乗せ、結婚する。千鶴との間に泰蔵あり。血の分けた息子泰蔵より弥生を可愛がる。
●五十嵐泰蔵
猛蔵と千鶴の息子。なぜか猛蔵に冷遇される。女中の光枝と駆け落ちするが、その後結婚。
●五十嵐透
泰蔵と光枝の息子。金銭目的であったような女との間に滋あり。
●五十嵐滋
透の息子。アメリカに留学し、帰国後法眼由香利と結婚。

こちらが五十嵐家の家系図

2021.04.26■横溝正史■病院坂の首縊りの家  五十嵐家の家系図●2.jpg


その他
●本條徳兵衛
明治25年創業の本條写真館の3代目
●本條直吉
徳兵衛の息子。
●兵頭房太郎
本條徳兵衛に育てられ、写真館で働く。その後退職し写真家になる。

●佐川哲也
「怒れる海賊たち(アングリーパイレーツ)」のドラム。→「パイレーツ」のリーダー
●秋山風太郎
「怒れる海賊たち(アングリーパイレーツ)」のピアノ。後の作曲家秋山浩二
●原田雅美
「怒れる海賊たち(アングリーパイレーツ)」のテナー・サックス。電気器具商。
●吉沢平吉
「怒れる海賊たち(アングリーパイレーツ)」のギター。日曜大工センターのマネージャー

以上が主要登場人物。かなりの人数を書きましたが、取り敢えず法眼家は大事です。

内容まで書くと明日になってしまいそうなので、続きは後日。







病院坂の首縊りの家―金田一耕助最後の事件 (1978年) (角川文庫)

病院坂の首縊りの家―金田一耕助最後の事件 (1978年) (角川文庫)

  • 作者: 横溝 正史
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2021/04/26
  • メディア: 文庫



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原田マハ■サロメ [書]

原田マハ■サロメ

原田マハ■サロメ●文藝春秋.jpg
 

以前、モバサム41さんの記事

SALOME→https://mobilesamurai41.blog.ss-blog.jp/2020-05-10

を読んで、この本読みたいなと思っていました。『サロメ』だから、姉に薦めて、借りて読もうと計画していたのですが、姉は無反応だったので、本屋に行ってチラッと中身を見たら、こりゃ私が買う方だな。と思って購入していました。うちの姉妹は割と買う担当みたいのがあって、こっちは私、あ、これは姉だな、というので、今回は私でした。少し前に購入していたのですが、他の本を読んでいたので、今頃読み終わりました。オスカーワイルド『サロメ』に関しての知識は、知っているというだけで詳しい事迄は知りませんでした。多分、姉が持っているのでいつでも読めるというのもあったかもしれない。原田マハさんの『サロメ』はフィクションの小説になっていたので、すごく読みやすかった。読んでいる途中、このイラストはどれ?という思いがあり、姉に画集を見せてもらいたかったのですが、不在だったので、帰ってくるまで我慢しました。ネットで検索もしていたのですが、姉が画集持っているのを知っていたので、そっちを楽しみしていました。で、「見せて」と頼むとワイルド作の『サロメ』も一緒に持ってきたので、そっちも読みました。

2020.09.11■サロメ2冊 ビアズリー画集●1-2.jpg


確かに小説で書いているように、挿絵が強烈に感じました。オーブリービアズリーは25歳で夭折していますが、もう少し長く生きていたらどれだけの作品をだしたのでしょうね。それとも、自分の虚弱な体をわかっていての集中力で作品を描いていたのか・・。

後世に影響を及ぼしたビアズリーですが、私はビアズリーの絵を見て、いつもある漫画を思い出していました。
魔夜峰央さんの『怪奇生花店』だったかな?調べてみたら『パタリロ』の4巻と『妖怪缶詰』に収録されているようです。この作品は学生時代の私が忘れられない作品の一つです。魔夜峰央さん、やはりビアズリーに影響受けているとおっしゃっているようですね。が、魔夜さん、ギャグ漫画の方が有名なってしまった。ギャグ漫画も面白くて好きですが、やっぱ怪奇物シリーズの方が好きだったかもしれない。『パタリロ』も60巻位迄は買って読んでいましたけど。(『パタリロ4巻』『妖怪缶詰』両方持っていたけど、本棚の奥深くか、処分したか不明)


もう一人、この人も影響受けている?と思ったのが、

米津玄師■STRAY SHEEP.jpg
 

米津玄師さんの『STRAY SHEEP』。ジャケットは米津さんのイラストのようですね。他のイラストは全く知らないのですが、このジャケットは目を惹きました。なので、クリアファイルのついているのを買ってしまった。

2020.08.12■米津玄師■STRAY SHEEP●1-2.jpg


元々漫画家志望だったようなので、他のイラストはタッチが違うのかもしれない。このアルバム、今とんでもなく売れているようですね。好きな曲が収録されているので、買おうと思っていて、発売後2、3日後にネットで購入しました。色んなお店で入荷待ちだったようですが、タイミングよく買えました。2年前の法医学のドラマ『アンナチュラル』(医療ドラマより法医学のドラマの方が好きなので)でのエンディングで流れていた『Lemon』で米津玄師さんの名前を知り、何曲か動画も見て、これを、気に入っていました。

米津玄師『Flamingo』→https://youtu.be/Uh6dkL1M9DM

米津玄師さんの声は好きですし、アルバム全体良かった。そりゃ~売れるわ。と思いました。

米津玄師 5th Album「STRAY SHEEP」クロスフェード→
https://youtu.be/iBx4Wusc7aY?list=TLPQMTEwOTIwMjAsHfSgUiHAbg

このアルバムだけ別に記事にしようかと思いましたが、きっと世の中の色々な人が紹介しているだろうから、パスしました。






サロメ (岩波文庫)

サロメ (岩波文庫)

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2000/05/16
  • メディア: 文庫




パタリロ! (第4巻) (花とゆめCOMICS)

パタリロ! (第4巻) (花とゆめCOMICS)

  • 作者: 魔夜 峰央
  • 出版社/メーカー: 白泉社
  • 発売日: 1980/05/01
  • メディア: コミック




妖怪缶詰 1 (白泉社文庫)

妖怪缶詰 1 (白泉社文庫)

  • 作者: 魔夜峰央
  • 出版社/メーカー: 白泉社
  • 発売日: 2014/01/20
  • メディア: Kindle版







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京極夏彦■今昔百鬼拾遺 月 [書]

京極夏彦■今昔百鬼拾遺 月

久し振りに講談社ノベルズから出ました。

京極夏彦■今昔百鬼拾遺 月●講談社ノベルズ.jpg
   

京極夏彦■今昔百鬼拾遺withショッカー●1-2.jpg


これ、中身は

京極夏彦■今昔百鬼拾遺 鬼 河童 天狗-1.jpg


この3冊で、加筆されています。
内容は2019年に紹介していますので、そのページのリンク貼ります。

今昔百鬼拾遺 鬼■講談社タイガ→2019.05.19

今昔百鬼拾遺 河童■角川文庫→2019.06.21

今昔百鬼拾遺 天狗■新潮文庫→2019.07.12

買った当時3回は読んでいるのに、また読んで、どっぷり入り込んでしまいました。
さすがに去年紹介記事書いたので今回はリンクだけです。数年経っていたら、新しい感想もあるかもしれないので書いていたかもしれない。・・・・という程入り込んで読んでいました。






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篠田鉱造■百話シリーズ [書]

篠田鉱造■百話シリーズ

7月は雨が多く、湿度の為に不快指数が高かった。不快指数が高い程度で不満を言うのは贅沢だと感じるこの頃です。
私が勤めているお店、例年は他の店舗より少し遅く7月の2週目頃にセールを始めるのですが、今年はセール初日の“密”を避ける為、今年初めてプレセールをしてお客さんの分散を狙いました。おかげで例年よりは“密度”は低かった。それにセール準備やセール期間中も身体的には楽でした。

身体的には楽だったのですが、中々ゆっくり本屋に行く事ができず、ストック本を読んでいました。読み始めたのは何年か前に買った篠田鉱造の『明治百話』。読み始めたら他のシリーズも読みたくなり、購入。これ、いつも行く本屋、ジュンク堂では『幕末百話』だけは購入できたけれど、『女百話』はネットのみ、それも上巻は古本しかなかった。

2020.07.31■篠田鉱造●百話シリーズ1-2.jpg


この本は篠田鉱造が幕末や明治を生きてきた人達の話が聞けるうちにと思い、聞き取り、まとめたものです。
その時代の口語がそのまま文体になっているので、少し読みにくいですが、その時代を感じる事ができ、現在のインタビュー本とは違います。幕末、明治の一般の人の生活から、藩のお城の奥向きの話迄、色々あり。『明治百話』の最初には首切り役人と言われた山田朝右衛門の八代目の談話があり、かなりインパクト大です。『明治百話』を読んでいて思ったのは、女の人の話は感情が入り過ぎる部分もあるけれど、見栄がない分話に信憑性あり、その人の気になった事柄の場合、細かい所迄憶えているので面白かった。なので、最初に買い足したのは『女百話』の方でした。他に『銀座百話』もあるようなので、その内読んでみようかと思っています。

で、今読んでいるのは渋沢栄一の『雨夜譚(あまよがたり)』一応自伝になるのかな?自分自身でも意外に思っているのですが、渋沢栄一についての本って読んでいなかった。この自伝で2冊目。来年は大河ドラマになるし、新紙幣の顔になるし、いい加減、読もうと思い、読み始めました、何冊か読んで面白そうなのがあればまた紹介します。資本主義の父と言われている、銀行を作った渋沢栄一が今迄紙幣の顔にならなかったのが不思議だったのですが、最近理由を知りました。印刷の問題だったようです。渋沢栄一の写真、“髭”がない。偽札が作りにくい様に、髭を生やしている人を選んでいたそうです。同じ理由で女の人も選べなかったようです。最近印刷技術も進み、女の人、髭のない人物が選べるようになったとの事。納得。

コロナ感染者増えていますね。色んな記事が出ていますが、私が納得した記事は、感染者が増えているのは、毒性が低くなり、無症状の人も増え、陽性の人が普通に生活をしているので感染率があがっている。感染率の割に重篤患者が少ないのはそういう理由からではないかと。もちろんPCR検査数が増えたのもあるけれど。
参考記事→https://news.yahoo.co.jp/articles/df17ecc41338bbccd0249a7a1b689418f96ea302

マスク、夏には拷問ですね。不織布のマスクを洗って数回は使用していたので、手持ちのマスクはまだストックはあったのですが、不織布は吸汗性はないので、顔が痒くなってきました。丁度その時友達よりマスクをもらったので、それをサンプルに私も作成しました。
友達のブログに、私の甥っ子よりのチェリーが届いた時、料理上手の彼女に持って行ったので豪華なスイーツになり、その下にマスクも掲載しております。デコレーションが豪華です。
[ダイヤ]CANDY[ダイヤ]のブログ→https://ameblo.jp/dragon-comi-candy/page-5.html

友達に比べ写真が貧弱ですが
2020.07.31■お手製マスク●1-2.jpg


2020.07.31■お手製マスク●2-2.jpg

貰ったマスクは裏が薄いさらしを使用して涼しいのですが、私がいつも行く手芸屋、さらしが売切れだったので、シャツによく使用しているブロードを裏に使いました。ブロードなので、吸汗性があり、顔の痒さがなくなりました。涼しくはないけれど、汗を吸ってくれるだけで、着用が楽になりました。
写真のマスク、試作品から段々進化して、自分サイズに変化しています。貰ったマスクは私の細い顔に合わせて少し細く作ってくれていたのですが、彼女の作ったマスクより私の作ったマスクの方が単純化していたので、もう一度サイズ調整が必要だった。おかげで7月の休みはマスク作りに結構時間を取られてしまいました。まぁ、まだまだマスク着用は続くと思うので作るのに慣れて良かったかな・・と思う事にします。



明治百話 (上) (岩波文庫)

明治百話 (上) (岩波文庫)

  • 作者: 篠田 鉱造
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1996/07/16
  • メディア: 文庫




明治百話 (下) (岩波文庫)

明治百話 (下) (岩波文庫)

  • 作者: 篠田 鉱造
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1996/08/20
  • メディア: 文庫




幕末明治 女百話 (上) (岩波文庫)

幕末明治 女百話 (上) (岩波文庫)

  • 作者: 篠田 鉱造
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1997/08/19
  • メディア: 文庫








増補 幕末百話 (岩波文庫)

増補 幕末百話 (岩波文庫)

  • 作者: 篠田 鉱造
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1996/04/16
  • メディア: 文庫



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京極夏彦■邪魅の雫 [書]

京極夏彦■邪魅の雫

京極夏彦■9 邪魅の雫●講談社ノベルズ.jpg


このシリーズの講談社ノベルズで出す最後みたいです。次はどこで出すのかしら?
これ、発売当時同じ事務所の大沢在昌氏の『狼花』と同時発売で大阪でもサイン&トーク会があり、応募したら当選したので、名前入りサイン本です。大沢在昌氏の新宿鮫シリーズももちろん読んでいたので、その2冊持って行ってきました。そんなに大人数のサイン会ではなかった記憶があります。2006年だったので、そんなにみんなサイトとかチェックしてなかったのかな?大沢オフィスのサイト『大極宮』で応募しましたねぇ。

大極宮のサイト→http://www.osawa-office.co.jp/

京極夏彦■邪魅の雫 サイン-3.jpg

目の前で書いてくれました。
この本は地区限定の特装版がありました。作品の舞台大磯・平塚限定で。でも結構大阪でもちょくちょくみたのよねぇ。私も持っています。
京極夏彦■9 邪魅の雫 大磯 平塚地区限定特装版●講談社ノベルズ.jpg

装丁がカッコよかったので買ってしまいました。現地でもないのに。

この話は、探偵・榎木津礼二郎の話ですねぇ。
まず画家・西田新造と神奈川県警の石井寛爾との会話から始まります。
石井寛爾は「魍魎の匣」では警部から降格され、「狂骨の夢」では警部に返り咲き、「鉄鼠の檻」にも登場します。西田新造は自称世間と関わりがない世間知らずのようだ。旧友の石井寛爾が警察官だと新聞で知っていたので、罪についての質問というか相談をしていた。付きまといは罪になるのか?付きまとうだけで、何もしない。何もしないが付きまとわれている本人は嫌がっているけれど、それも罪にならないのか?人を殺したら死刑になるのか?石井寛治は西田の意図はわからないが、動機や状況、裁判や量刑、情状酌量や執行猶予、社会的更生、時効等の一般的な内容の説明を述べる。
次の場面は榎木津探偵事務所。榎木津礼二郎の親類の今出川欣一と探偵助手・益田龍一の会話です。今出川は礼二郎に結婚をさせたがっていた。なので、縁談話をいくつか設定した。らしいが、破談した。というか縁談自体が成立する前の破談だ。榎木津自身にはまだ写真すらみせていない、先方に話を持って行っただけ。見合いをしてから、交際を始めてから止めるならわかる。その前段階での破談だ。旧華族で榎木津グループの次男だが御曹司で、先方に渡した写真は俳優並に写っている。学歴も高く、見栄えも良く、世評も良い。それなのに、軒並み破談。今出川はどうしても怪訝しいと。福山家、来宮家、宇都宮家、3件とも断りの連絡があった。宇都宮家は先方からの話なのにだ。来宮家のお嬢さんは学生時代の榎木津の噂を知っていて喜んでいた。のに。今出川は最初、益田龍一や安和寅吉が榎木津に頼まれて妨害をしているかと思ったらしいが、人殺し迄はしないとわかっているので、疑いはなくなっている。殺されたのは正確には見合い相手本人ではなく、妹らしい。今出川によると3件とも縁談を断る理由がどうもわからない。鎌を掛けて聞いてみたがわからない。榎木津家に対する嫌がらせにしても、怪訝しい。榎木津家にはまだ話がいっていないのだから、知らないので嫌がらせにもならない。無意味な嫌がらせ?陰謀?そこで今出川は元警察官の益田に礼二郎に黙って調べる事を依頼した。
次は平塚のアパートで女性の死体。女性の名は真壁恵。発見者は酒屋・澤福の従業員江藤徹也。
次は刑事・木場修太郎と後輩青木文蔵の会話。二人は伊豆の事件(塗仏の宴)での警察官服務規程違反で処分されていた。青木は訓告・減棒の上所轄内での制服を着た派出所勤務。青木は管轄内で起こった商社社員の男性が河原で死んでいた事件で最初に通報を受け最初に現場に行っていた。が、色々と納得が行かないらしい。そこで木場に相談をしていた。被害者の名前は澤井健一。死因は青酸加哩による中毒死。そしてなぜか公安一課の郷嶋郡治が出張って来ていた。それも事件が理由ではなく、商社社員の澤井をマークしている様子だと青木は感じていた。澤井は戦時中満州にいた。それも防疫給水部隊に配属されていた。木場はこの事件、肝は死因ではないかと思うと言った。
次の登場人物は元警察官の大鷹。大鷹は「陰摩羅鬼の瑕」の中でかなりずれた感覚の刑事だった。今作では完全に莫迦だ。愚かとの事。今まで長い間まともな成人男性のふりをして社会生活を送って来ていたが、一人前だと勘違いし、莫迦だと気付かずにきた。薄々は感じていたが知らぬふりをしていた。記憶力も理解力もあるが、物事を関連付けて論理を構築することが出来ない。大鷹は困難なりに社会生活を送ってきたが、破綻した。そして凡て(すべて)を捨てて逃げ出した。そして到着したのが大磯海岸だった。海を眺めていた。そして、死のうかと思っていた。そしてそこで出会った女性と話をした。

ここまでが話のさわりですね。防疫給水部隊と青酸加哩とくれば、帝銀事件を思い出しますね。731部隊、石井四郎の部隊ですね。表立って言えない内容らしきものが見え隠れし、関連しているワードが出ていますね。そして連続殺人事件?連続なのか、関連はしているが別の事件なのか?この辺は横溝正史の「獄門島」を思い出します。榎木津礼二郎の話ですが、今回はあまり登場する場面は少ないし、いつものように暴れていません。

この話、私は「鉄鼠の檻」と並んでお気に入りです。講談社ノベルズで全部揃えていたのですが、この作品が講談社ノベルズで出す京極堂シリーズの最後だそうです。重版もないようです。今後は形態を変えての販売だそうです。シリーズの続きはあるようですが、違うところから出すようです。原因はネット上で噂は流れていましたが、あくまで噂なので、ここで書くつもりはないです。読者は出版を待つのみです。

詳細は→http://www.osawa-office.co.jp/weekly_bn/364.html
厨子王の逆襲~京極夏彦のコーナー~に掲載しています。

そういえば帝銀事件で思い出しましたが、私は過去に帝銀事件についての記事を書いたことがあるのですが、少し前、やたらその記事にアクセスがあるので、何だろうな?と思っていたのですが、理由がわかりました。録画していたドラマ「刑事7人」を見ていたら、帝国銀行を帝都貴金属に変え、過去の事件・帝金事件という設定があったのだわ。2010年の記事のアクセスが高いと何事?と思いますね。その頃はやたら昭和初期の事件に興味があり、帝銀事件、下山事件、226事件についての本を読んでいました。特に226事件についてはやたら調べいて、記事にしようと、下書きフォルダに途中まで書いて放置したままです。10年近く放置したままなので、続きを書くことがあるのかなぁ?まぁ、今でも昭和初期から私が生まれる頃迄に興味があるので色々読みますし、また何か引っかかることがあれば書くかもしれないですね。



邪魅の雫 (講談社ノベルス)

邪魅の雫 (講談社ノベルス)

  • 作者: 京極 夏彦
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2006/09/27
  • メディア: 新書




邪魅の雫 大磯・平塚地域限定特装版 (講談社ノベルス)

邪魅の雫 大磯・平塚地域限定特装版 (講談社ノベルス)

  • 作者: 京極 夏彦
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2006/09/27
  • メディア: 新書


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京極夏彦■陰摩羅鬼の瑕 [書]

京極夏彦■陰摩羅鬼の瑕

京極夏彦■8 陰摩羅鬼の瑕●講談社ノベルズ.jpg


この話、正直読んでいる間なぜかザラついた気持ちになった。文章ではなく、ある登場人物の言葉に。

序章に小説家・関口巽と由良昂允との対話で始まります。
由良家は元々貧乏公家から明治の華族令公布の際にかなり厳しかった叙爵内規の特例となり、昂允の祖父は伯爵となった。華族制度廃止された後は没落というのがよくあるパターンだと思う。確かに一握りの商才や生活能力のある旧華族も居る。このシリーズの登場人物榎木津家がそうだ。榎木津の父は趣味が高じて一財産を築いた人物だ。しかし由良家は違った。昂允の祖父・公篤は一部の間で有名な儒学者。だが、49年の生涯のうち一度も金を稼ぐ事をせず、資産全部を売って、その上親戚中に借金をしまくり、白樺湖の畔にとんでもないスケールの西洋建築の由良邸を建てた。父・行房は博物学者。榎木津の父・幹麿が参加している博物倶楽部の前身の東亜博物同好会の会員。この行房ももちろん、稼ぎがない。ないが、本来なら没落への道をたどりそうなだが、妻・早紀江、昂允の母の実家・間宮家が元々素封家で、間宮家はその財を元に事業も成功したが、色々な理由で係累が絶え、全て由良家に嫁いだ昂允の母が相続した。その相続した資産で、借金を返した。返したが生活力のない行房の将来を心配した親戚が財産管理と運用の為の奉賛会を作っている。なので裕福である。その裕福な家系に生まれた昂允は心臓疾患があり、成人するまでこの館から出たことがなかった。
由良邸はただの洋館ではなかった。世間では“鳥の館”と呼ばれていた。理由は、昂允の父・行房が由良邸に剥製職人を住まわせ、鳥の剥製を作らせ、邸内を埋め尽くしていた。取り敢えず由良邸に入るとどこもかしこも鳥の剥製だらけの状態だった。部屋ごとにも鳥の剥製は置かれていた。そのような状態の邸内で外出も出来ず書物だけで学んだ昂允。
この昂允が5度目の結婚の予定していた。なぜ5度目の結婚かというと、過去昂允は結婚の度に初夜の次の日に花嫁が何者かに殺されていた。早朝の僅かな時間の間に窒息で。それも花嫁は抵抗した様子もない。最初の事件は23年も前なので死因はどこまで正確かは不明とはいえ、その後も結婚の度に毎回、花嫁は殺された。そういう事があり、探偵・榎木津に依頼があったのだ。あったのだが、目的地に到着する前の宿で榎木津は高熱を出し、目が見えなくなってしまった。目の不自由になった榎木津を介助するのは本来ならば、探偵助手・益田の役目だが、益田は世間一般が思うであろう探偵仕事で手が離せない為、白羽の矢が関口立ってしまった。関口は身体的介助だけだと思い、榎木津の宿に向かった。そして、由良邸に着いてしまった。関口の思惑では目の見えない探偵は役立たずでお役御免になるだろうと思っていたのだが、なぜか邸内に迎え入れられてしまった。
昂允は関口巽の小説の読者だったのだ。そして、関口は昂允と対面し、ある質問を受けた。

「貴方にとって生きて居ることと云うのはどのような意味を持つのです―」

初対面の相手に、それも対面恐怖症の鬱病を何度も経験している関口にこの質問です。関口はこの対面で不安が増長し、頭の中に不協和音が響いた。伯爵には自我、人間、個人とかそうした使い勝手の良い言葉は通じなかった。そして、関口は

「あなたの―伯爵の仰る、なくなってしまうことと云うのは、一般に云うところの死ぬと云う意味と同じだと考えて宜しいのですか」

関口はその時伯爵が一瞬訝しさを瞳に宿した―ように見えた。そして、

“この人の論旨には瑕がある”

そして関口は凡ての真相に至った。

この上の文面、本書のまま引用しています。ここが一番ザワつく所です。ここでザワついた後はある程度落ち着いて読めます。でも、由良昂允が出ている所は、今迄出ているこのシリーズの中で一番関口と共鳴するというか、心がザラつきます。そうそう、この話の中に私の大好きな作家が登場します。関口と対話します。話の中とはいえ、私もドキドキ興奮しました。登場人物が好きな作家と対話しているだけで興奮している私も単純ですが、これがあるので、また再読できる。
物語自体はすごく悲しい話です。剥製に囲まれているという設定もすごい効果だと思います。これから『陰摩羅鬼の瑕』を読もうという方は、物語の中に入り込みたい方は、弦楽器の多いクラッシック音楽を聴きながら読んで下さい。反対に引き込まれて不安に陥りやすい方は出来るだけ明るい音楽を聴きながら読んで下さいね。

昨日9月23日にTVでV6の「愛なんだ2019」という番組が放映されました。それ、見ていたんですが、その中に群馬県の尾瀬高校が紹介されていました。その高校には自然環境科があり、そこの未来の自然環境の専門家の高校生を取材していた時、当然と言えば当然ですが、いたるところに剥製が置いてあり、思わずこの話を思い出していました。




陰摩羅鬼の瑕(おんもらきのきず) (講談社ノベルス)

陰摩羅鬼の瑕(おんもらきのきず) (講談社ノベルス)

  • 作者: 京極 夏彦
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2003/08/09
  • メディア: 新書



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京極夏彦■塗仏の宴  [書]

京極夏彦■塗仏の宴 
     宴の支度、宴の始末
これは京極堂シリーズの6と7です。5の『絡新婦の理』は『河童』の記事で少し紹介したので飛ばします。
これは2冊にするには、ちと長いです。支度で613ページ、始末で633ページ、計1246ページです。まぁ1冊にされてしまうと通勤電車で立って読むには腱鞘炎覚悟ですね。手首と腕、両方やられます。
この話は、かなり入り組んでいます。何度も読んでいるのでさすがに関係性は頭に入っているので、スムーズに読み進めますが、別の話だと思っている内容が重なっていたり、騙していると思っていたら、騙されていたり、どんでん返し続きです。これから読む方は心して読んでください。まぁ読んでいる時ってのは、話に入り込んでいるのでわかりにくいですが。

京極夏彦■6 7塗仏の宴 宴の支度 始末●講談社ノベルズ.jpg


まずは小説家・関口巽の記憶から始まります。淵脇という若い警官と堂島という50代の郷土史家と名乗る人物と異空間のような所に居た記憶。
関口は5月の下旬に赤井書房のカストリ雑誌「實禄犯罪」の編集長・妹尾より、調査と原稿の依頼を受けた。丁度いつもの如く体調不良で腐っていた上に家計も火の車が見えかけていたので、気分転換の必要性も感じていた為、依頼を引き受けた。妹尾の話によると、赤井書房の社長の知り合いの光保公平という元警官からの相談だったという。光保という人物は戦争で大陸に行く前は警官をしており、大陸より戻った時戦争前に赴任した“戸人村”に行ってみようとした。元々僻地ではあったが、12年経ってもバスも電車も通っていなかった。それどころか、村は影も形もなくなっていた。無くなっているとはいっても、物理的に無くなり、山になったわけではなかった。建物も道も残っている、でも、村の名が違う。隣村になっている。戦争を挟んで住所表記が変わった分けではない。光保の記憶にない老夫婦が住んでおり、70年そこに住んでいるという。光保は役所や郵便局を調べたが、“戸人村”は存在していなかった。そして光保は自分の頭がいかれてしまったのかと思ったらしい。そこで妹尾がある古新聞の記事を出した。見出しは
静岡縣の山村で大量殺戮か―。
未確認情報とのことだが一箇村全員、忽然と消えてしまった。その記事のH村は光保が自分の妄想の中だけの村と思っていた戸人村の辺りだった。関口は光保と会い、その韮山の戸人村の事を聞いた。村の中心の佐伯家には、人に似た死なない生き物がおり、それは“くんほう様”と呼ばれていた。そして光保は佐伯の惣領息子・亥之介とその“くんほう様”を見せてもらう約束をしていた。
そして場面は変わり、『狂骨の夢』の登場人物一柳朱美は沼津に居た。松林の植わる海に居た。そして、自殺未遂を目撃し、声を掛けた。風采の上がらない村上兵吉という男性だ。その村上は話していると、もう自殺は諦めたようだった。そして今後の段取り等の話をしていた。それなのにまたもや、自殺未遂を起こした。結局病院に入院した。それとは別に沼津は最近落ち着かなかった。騒ついていた。成仙道という新興宗教が目につく。そんな折、朱美の夫・史郎の恩人の尾国が立ち寄った。尾国は、村上兵吉は当り屋、詐欺だと言う。だが、尾国に村上の過去の話をしていると、僅かだが尾国が微妙に動揺しているのが見て取れた。そこで、朱美はこの付き合いの長い恩人が“誰だ?”という疑問をもった。なぜか、この恩人より村上の方を信じている自分に気付く。村上が3度目の自殺を図った時、成仙道の刑部が病院に村上を訪ねてきた。村上が入会している「みちの教え修身会」はいんちきの霊感商法だだと言い、成仙道への勧誘だったが、その時成仙道の楽隊のようなものが町におり、落ち着かない苛々する音を発していた。
関口は正月に京極堂で宮村香奈男と会った。その後3月の初旬に稀譚舎の帰り、正月に話題になった加藤麻美子という女性と一緒に会った。そして麻美子の祖父・加藤只二郎の入っている「みちの教え修身会」についてのはなしを聞く。
次は中禅寺敦子。敦子韓流気道会の道場に取材に行き、記事を書いた。敦子は公平な目で記事を書いたつもりだが、道場の人間に襲われた。敦子を襲う前気道会の連中はある女性を追っていた。結局その女性と二人怪我をした。その女性は話題の占師華仙姑乙女だった。華仙姑の話を聞き、敦子は誰に相談しようかと悩んだ挙句、探偵・榎木津礼二郎に相談をした。
刑事・木場修太郎。木場は行きつけのバー“猫目洞”の主・お潤の友人の三木春子の相談を受けていた。春子は迷っていた。春子は通っていた庚申講で一緒だった工藤という男性より監視されているという。なぜか春子の行動を細部漏らさず手紙に書いて送ってくるらしい。木場が相談に乗ってくれない場合、春子に最近近づいてきている藍童子に相談をするという。結局木場は春子の相談相手となり、調査を始めた。始めたが、わからないことが多すぎたので、京極堂に説明を聞きに行く。そして、木場は消えた。
次は織作茜。「絡新婦の理」の登場人物で、織作家の次女で唯一の生き残り。茜は土地家屋を売る為、羽田製鐵の顧問・羽田隆三と会っていた。色々な話の末、羽田の仕事の手伝いをすることになり、第一秘書の津村と下田に出かけ、殺されてしまう。

ここまでが“支度”です。かなり簡素な説明ですが、これ以上書くと、始末に迄行ってしまいますので切り上げます。謎を残しながら、ある程度登場人物は書きたかったんので、長くなってしまいました。

報告です。河童と管原氏との関係、“支度”で載っていました。関口、宮村香奈男と京極堂の会話の中、272ページに“ひょうすべ”と“河童”の説明があるのですが、菅原氏は“ひょうすべ”を使役していた。としっかり載っていました。多分私はここの文章を憶えていたんだと思います。まぁ、読み返しの最初の目的の文面は見つけましたが、ここまで読んだので、現在出ている最終巻の『邪魅の雫』迄読み返しますよぉ。『邪魅の雫』は『鉄鼠の檻』と並ぶほどお気に入りですから。





塗仏の宴 宴の支度 (講談社ノベルス)

塗仏の宴 宴の支度 (講談社ノベルス)

  • 作者: 京極 夏彦
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1998/03/27
  • メディア: 新書




塗仏の宴 宴の始末 (講談社ノベルス)

塗仏の宴 宴の始末 (講談社ノベルス)

  • 作者: 京極 夏彦
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1998/09/17
  • メディア: 新書



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京極夏彦■鉄鼠の檻 [書]

京極夏彦■鉄鼠の檻

京極夏彦■4 鉄鼠の檻●講談社ノベルズ.jpg


京極堂シリーズ4、『鉄鼠の檻』です。私の中で1、2を争う程お気に入りです。でもね、重たい。なんせ、
鉄鼠の檻withショッカー-1.jpg

5cmあります。電車の中で立ったまま読むには重たいけれど、読んでしまう程面白いです。

内容は序章で目の不自由な按摩師の尾島佑平が仕事の帰りの雪道での出来事。
「拙僧が殺めたのだ」
から始まります。目が不自由なので足元にある物体がわからずにいると、そう言われたのだ。
最初の登場人物は、またもや探偵・榎木津礼二郎の軍隊時代の部下である、骨董屋・待古庵の主・今川雅澄。まず今川は見た目に特徴のある人物である。太っていないがずんぐりとしていて、貫禄があり、顔は立派な鼻(原作では樽噉鼻・・意味はわかりませんが、樽という文字が入っているのでかなり丸目な横に張った鼻かな?)、団栗眼、そして蚰蜒(げじげじ)眉毛、少ししまりのない厚い唇、濃い髭、そして、顎が殆どない。不惑を過ぎれば味のある大商人になりそうな見た目らしい。その未来の大商人、今川は冬の雪深き箱根の老舗旅館“仙石楼”に商売の為滞在していた。だが、待ち惚けが5日目になっていた。今川は部屋から出て階段を降り大広間に行くと、すっかり馴染みになった老人に挨拶をした。老人は仙石楼の居候だという。名前は久遠寺嘉親と名乗った。久遠寺は『姑獲鳥の夏』の久遠寺醫院の院長。あの事件で家族を亡くし、全てを処分し、都落ちしていた。今回の話ではこの久遠寺老人が、中々いい味を出しています。今川と久遠寺は雪深き情緒ある仙石楼の庭を眺めながら、色んな事を話し、碁を打つことにした。静かなので、気温が上がって雪が溶け、木から落ちる音が時々耳に入るのみだった。
次の登場人物は絵になるような雪景色の中黙々と歩く二人。一人は「實禄犯罪」というカストリ雑誌の編集兼カメラマン・鳥口守彦、二人目は「稀譚月報」の編集・中禅寺敦子。稀譚舎のカメラマンが急病で倒れたため急遽鳥口にお呼びがかかったのだ。取材先は箱根の寺だという。道すがら話を聞くと、どうも普通の寺ではないらしい。その時長身の体格の立派な若い雲水とすれ違った。敦子はこれから取材に行く明慧寺の僧かと思い、呼び止め尋ねた。答えは旅の雲水との事だった。そして鳥口は普通の寺ではない理由を聞きそびれてしまった。そして宿泊予定の仙石楼に向かった。仙石楼には今回の企画者の飯窪季世恵が先に来ているはずだ。仙石楼に到着した二人は仲居より飯窪が体調を悪くし、部屋で臥せっていると聞く。部屋に案内される途中、鳥口は襖の開け放った広々とした座敷を覗くと、絵になる構図があり、見惚れてしまっていた。敦子がその様子に気付き中を覗き、碁を打っていた久遠寺老人をみつけ、声をかけ挨拶をする。鳥口は部屋に入ったが、さっきの構図が気になり広間に戻り、今川と久遠寺に自己紹介をし、写真の被写体になってくれるよう頼み、許可をもらい、撮影した。敦子も交えお茶を飲みながら今回の取材の話をした。修行中の僧の脳波の測定という企画があり、それに先立っての取材という事だ。そこで、先ほどの雪道での話の普通の寺ではない理由を聞いた。明慧寺は、敦子の兄、京極堂こと“中禅寺秋彦も知らない寺”との事だ。京極堂は全国津々浦々の神社仏閣に通じているため、周囲の人間は彼の知らない寺はないと思っていた。しばらく話をし、鳥口は席を立ってアングルが上がった時、庭が先ほどと何かが違う事に気付いた。庭に黒い塊があった。
―あれは誰だ?
漆黒の衣で結跏趺坐した僧侶だった。久遠寺老人が縁側の廊下から僧侶を見、「あの坊主は死んでおる」と判断し、敦子が現状を保持するために庭に降りることを止めた。そして警察を呼ぶこととなった。
その頃敦子の兄・中禅寺秋彦は、仕事で箱根に来ていた。金満家の買った土地から、土砂に埋まった蔵が発見され、その中身が和書、漢籍、巻物や経典のようなものだったので、京極堂に出番が回ってきたのだ。今回は鑑定に時間もかかるとの事で、妻の千鶴子も同伴することにしたのだ。同伴するが京極堂は仕事なので、千鶴子の話し相手に小説家・関口巽の妻・雪絵にお呼びがかかり、ついでに関口も誘い女房孝行の旅行となった。
この二か所の人物達の合流には理由があった。久遠寺老人が探偵を呼んでしまったのだ。探偵とは薔薇十字探偵社の榎木津礼二郎だ。榎木津は快諾したらしく、箱根に向かっているはず。榎木津が来るという事はこの場が無茶苦茶になると同義語なので、鳥口が軟禁状態の中から抜け出し、箱根に居るはずの京極堂・中禅寺を呼び、榎木津の暴走を阻止しようとしていたが、結局中禅寺は仕事で不在だったため、宿でボーっとしていた関口を連れ仙石楼へ戻った。

ここまでが話のマクラかな。ここからは話の舞台が明慧寺に移ったり、色々な謎解きワードが出てくるので、控える事にします。



そうそう、話は変わりますが、この京極堂シリーズを久々に読み返した理由の一つ、河童と菅原氏の関係が載っている箇所、みつけました。それは、後日その話の紹介の時に報告いたします。







鉄鼠の檻 (講談社ノベルス)

鉄鼠の檻 (講談社ノベルス)

  • 作者: 京極 夏彦
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1996/01/05
  • メディア: 新書



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京極夏彦■狂骨の夢 [書]

京極夏彦■狂骨の夢

相変わらず京極シリーズ読み返し中です。
次が『狂骨の夢』
京極夏彦■3 狂骨の夢●講談社ノベルズ.jpg


今回の話、まずは釣り堀いさま屋の主、伊佐間一成。榎木津礼二郎の軍隊時代の部下です。周りから瓢箪鯰と言われる、飄々とした人物。元々は旅館の息子だったが、終戦後の復員船の中でマラリアに罹り生死の境を経験し、色々と悟ることがあったらしく、就職はせずに、実家の旅館の生簀をそのまま使い、釣堀屋の親父に収まってしまった。釣堀屋は忙しくないので、お客がいても、そんなに仕事はなく、主はだいたい趣味の笛を吹いているか、何かのオブジェを制作している。そして釣堀屋を始めるに当たって勉強した釣り迄趣味になっている。(経営は勉強していない)その伊佐間が趣味の釣りで方々を巡ってたどり着いた逗子での話。逗子の海岸で海に向かい花、線香、水を撒いていた女・朱美と出会い、風邪の兆候が出ていた伊佐間は朱美の家に誘われ、食事をしながら、朱美のこれまでの人生の話を聞いた。
そして場面は変わり、次の中心人物は、探偵・榎木津礼二郎と刑事・木場修太郎の幼馴染の降籏弘の物語。降籏は木場と同じ小石川の歯科医の息子として生まれた。関東大震災や戦争を経験した為、トラウマを持っていた。トラウマを克服する(自分を見極める)為、彼は勉強し、精神神経科の医師になった。なったが、半年も持たなかった。で、現在も自分を見極める為、教会で居候をしている。教会には牧師の白丘亮一が居るが、迷える子羊を導くはずの白丘自身が迷っている。居候の降籏には役割があった。信者の懺悔を聞くこと。懺悔とは罪の償いと赦しを求める事。私はこの話を読んで初めて知ったのだが、懺悔は洗礼後の罪を赦免する<告解>という秘蹟の一つらしく、それはカトリックでは認めていて、プロテスタントは秘蹟を認めていないそうです。降籏の居る教会はプロテスタントなので、本来懺悔はない。だが信者が求め、牧師は拒まず受け入れている。そして<告解>ではなく、答えのない身の上相談として捉えている。そして、信者でもなく、信仰も持っていない、宇多川朱美という二十代半ばの女性の話を聞くことになる。白丘は触りだけを聞き、降籏の分野だと判断し、降籏にその女性の話を聞いて欲しいと言った。宇多川朱美の話は、人殺しをした、死人が生き返り舞い戻って来た、そしてまた殺し、首を切った、そして自分の記憶障碍(しょうがい)の話になり、夢の中で自分が骨になっていく話だった。降籏はこの話を聞き、自分のトラウマである“骨”というワードに反応。そしてなぜか白丘迄が何かに反応していた。
次の場面は小説家・関口巽、関口は新進気鋭の小説家・久保竣公(魍魎の匣の登場人物)の葬式に参列していた。その後の酒宴の席で稀譚社の社員小泉珠代に作家の宇多川崇を紹介される。どうもこの大御所作家・宇多川崇より希望の紹介であった。そして同じ稀譚社の中禅寺敦子が軍鶏鍋屋に二人の席を取った。そして宇多川は色々と話し、本題に入った。どうも関口の今迄の経緯を聞いていたらしく、中禅寺敦子と関口に相談があったようだ。相談内容は宇多川の年の離れた妻の話だった。宇多川は一度結婚しているが早くに死別しており、その間戦争だ、何だかんだと、結局再婚はしていなかった。そして放浪をしていた時利根川縁で水音がし、何かと思ったら人だったので、救助に向かい、助けたのが意識のない女だった。その時命は助けたが女は記憶を失っていた。女は意識はないが巾着袋を握っていた。その巾着袋に所番地と名前が縫い付けられていたので、それを元に宇多川は調査を始めた。そして調べた内容を女に話聞かせた。話すと何か思い出すらしく、宇多川は夢中になり話した。しかし宇多川が話していない内容があった。それは知ると辛いであろう記憶なので配慮したのだ。その後、伏せていた内容に関連する、復員服の男が自分たちの周りに居る事に気付いた宇多川は引っ越しを繰り返すことになる。そして現在の家は海が近く、海鳴りが聞こえるが、妻は海鳴りが怖いといい、神経症のような症状がでているので、関口に相談したそうだ。そして関口は病院を紹介すると約束しその日は別れた。
そして次の場面は刑事・木場修太郎である。木場は前回の事件で暴走したため、懲戒免職寸前だったが、2カ月で復帰、その代わり課内で一番の年長・長門五十次と組まされた。長門は木場とは反対のタイプだった。おっとりとし、コツコツと確実に仕事をこなしてくタイプだ。木場も本当はマメなタイプだが、長門とは違うようだ。木場の様な豪傑タイプの食指の動く事件はなく師走に入った。最近の木場の日課は新聞を隅から隅まで読む事だ。読みだすと中々くだらない内容が沢山あるが、それに対しての続報なんかがあったりする。最近の木場の気になる内容は、「金色の髑髏事件」というのが神奈川で起きていた。最初金色に光る髑髏が発見され(物は行方不明)、そして次は塗りが剥げたのか普通の髑髏になり、次は肉片と髪がついていた。そして次の続報は長門より齎された。とうとう生首が発見されたのだ。それとは別に木場には仕事があった。葉山の双子山山中で起きた集団自殺だ。男女5人ずつ、計10名が純白の白装束で、自刃に使用した短刀には十六弁の菊花紋がついていたらしい。その中の一人が行方不明者のリストの中から身元が判明したので、家族に話を聞きに行くことだ。そして木場はバカ騒ぎがしたくなり、神田の薔薇十字探偵社に行く。そして、そこで、関口と中禅寺敦子と遭遇する。宇多川は探偵にも依頼をしていたので、この二人は依頼人代理として探偵社に来ていたのだ。

と、ここまでがバラバラな場面紹介です。これがどう繋がっていくかがメインのお話です。

少し前に読みたい本を買っているのですが、京極堂シリーズを読み始めてしまったので、中々そっちに時間が取れていません。新しい手芸の方にも手を出したくて道具を買ったけれどそっちも手付かずです。手付かずなのに、この記事は書いているという・・・。まぁ、これは備忘録も兼ねているので、ま、いっか。
今、次の『鉄鼠の檻』読んでいます。シリーズの中でもお気に入りなので、何度も読んでいるのに、ワクワクして読んでいます。次は纏めるのは難しいだろうなぁ。




狂骨の夢 (講談社ノベルス)

狂骨の夢 (講談社ノベルス)

  • 作者: 京極 夏彦
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1995/05/09
  • メディア: 新書



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