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横溝正史■病院坂の首縊りの家-2 [書]

横溝正史■病院坂の首縊りの家-2
巣籠日記 2■3●2021.04.27

昨日の続きになります。
まず序章として、自称「砧の隠居」、金田一耕助は「成城の先生」と呼ぶ著者が昭和48年の地図を見ながらの回想でこの物語が始まります。
次に、昨日紹介した法眼家と五十嵐家の説明。
昨日載せていた法眼家と五十嵐家の家系図をまとめると

2021.04.27■横溝正史■病院坂の首縊りの家●家系図-4.jpg

(字が小さくて見えないと思うのでクリックして大きな字で確認して下さい。)

そして昭和28年、本條写真館の本條直吉が少し前に依頼のあった仕事がどうしても引っ掛かりがある為警察に行ったが、まだ何も事件が起きていないので金田一耕助に話すように言われたと、耕助の居候先を訪問した。
内容は、ある女性に姉の結婚式の撮影を依頼されたので、伺って仕事をした。撮影対象の新郎は身の丈の合っていない紋付き袴を着、肌も露わ。その上花嫁は先程姉と聞いていたのに本人が高島田で裾模様の派手な衣装で椅子に座っている。その上目はトロンとし、何かクスリでも打たれているのではないかと思う様な状態だった。その話を父親の徳兵衛に話すと、何かあってからでは遅い。すぐに警察に報告しろと言われたが、そこに居合わせた本庁の等々力警部に金田一を紹介されたとの事。
金田一耕助は直吉の持参した写真を確認した。写真は白黒だったが、どうも衣装は貸衣装のようだ。花嫁は美人のようだし、手には大粒のダイヤに小粒のダイヤがハート型に囲んだ指輪をはめている。新郎は体格も良く、開けた胸元は胸毛が密集している上に顔は髭だらけ、縮れた髪を長髪。まず獰猛といった見た目。そして写真の中央になぜか南部風鈴がぶら下がっていた。
撮影された場所を確認すると、依頼時は場所を言わず、ここから歩いて15~16分なので迎えを寄越すと。夜の9時に迎えの男がきたが、男に連れられて行くと、直吉も知っている病院坂という名前の由来になった病院で、確か病院は空襲で廃墟になっており、唯一残った横にあった日本家屋も空家だと思っていたが、電気が煌々とついて、その中に連れていかれた。直吉がここは法眼病院だと確認すると、男は法眼家の身寄りの者だと言い、琢也や弥生の名前も出した。
耕助が引っ掛かったのは、琢也のことは“おじさん”と呼び、弥生の事は“おばあちゃん”と呼んでいた事。
直吉が撮影迄の間待たされた部屋には楽器が散乱しており、たぶんJAZZをしている連中だと納得した。JAZZをする連中は髭を生やしているのが多いし、その中には良家の子供も多くいると直吉は認識していた。直吉が撮影の為部屋に入ると、新郎は先程自分を迎えに来た男だし、新婦は写真の依頼に来た女性だった。直吉は普段撮影時着物の乱れなんかも直吉自身がなおすのだが、新郎が自分がなおすから近くに寄るなと言い、その時新婦の状態がおかしいと気が付いた。そして仕事の帰り道、騒ぎながら先程の家に向かう連中と出くわした。連中の話す内容を聞いて、新郎は“ビンちゃん”という。そして新婦は妹の“コイちゃん”だと。
次の日徳兵衛に昨晩の事を話すと、そこは「病院坂の首縊りの家」だとの事。徳兵衛は何か知っているようだが、取り敢えず兵頭房太郎と昨晩の家に様子を見に行ったら、何もかもきれいさっぱりなくなっており、荒れた状態だった。
後日本條写真館にビンちゃんが写真を受け取りに来たが、徳兵衛は悪そうな奴に見えないから、この事は忘れてしまえと言うが、直吉は何かの犯罪に関わっていると嫌なので警察に行ったとの事。

金田一耕助、その時とある依頼を受けていた。中学時代からの親友で風間建設の社長風間俊六の紹介で法眼弥生から、孫の由香利が誘拐されたので探して欲しいと。誘拐犯人からの電話では、営利目的ではない。目的は金ではなく、由香利の体で、名前は「天竺浪人」と名乗った。
その依頼を受けた時、由香利の話から、佐藤冬子という琢也の愛人が、弥生の娘万里子に侮辱され、世を儚み、琢也の終焉の地で首を吊って亡くなったこと。その時遺体を引き取りに来た敏男、小雪兄妹の事を調べたが、わからなかった事。その後弥生に送られてきた「病院坂の首縊りの家」という詩集の内容から敏男ではないかと、出版社等問合せ行方を探したが、見つけることが出来なかったとの事。その詩集の著者は「天竺浪人」だった。

弥生より依頼を受けた時、由香利の写真を預かっていた。そして、先程直吉より預かった結婚式の写真の花嫁と並べ
「由香利ちゃん、さっきの本條直吉君の話がほんととすると、君が一人二役を演じているのか。それともこの世の中に、君とそっくり同じ顔を持ったお嬢さんが、もう一人存在するというのかい」
とつぶやいた。
金田一耕助はその後、冬子が亡くなった事件を知りたくて警察により加納刑事に確認をした。
しかし、耕助の所に弥生より連絡が有り、由香利が戻り依頼を取り下げたいと。連絡より数日後口止め料とも思われる大金が耕助に届いた。
耕助はこの調査から手を引かなかった。天竺浪人の調査を依頼していた、クラブKKKの多門修からは数日後にいいお知らせがあるとの報告もある。そして、一度見ておきたかった由香利を偶然街中で、先日法眼家で会った滋と並んで歩いているのをすれ違った。その時由香利は
「滋ちゃん、あんたのいっていることはようくわかっているのよ。だけどあたしはそのまえに決着をつけておきたいことがあるのよ。決着をね」
その声は堅牢な金属的な決費を秘めた声だった。
耕助は件の法眼家の空家を見に行った。そこには先客があった。成城の先生である。成城の先生はコッソリそこに潜り込んでいたので、誰か入ってきたと思い慌てて押し入れに隠れていたのを耕助がみつけた。その時先生はあるものをネズミの穴からみつけていた。短冊の様な紙に「助けて 由香利」というメモを。
成城の先生との面会後、天竺浪人の調査を依頼していた多門修と待ち合わせ、天竺浪人と思われる「怒れる海賊たち(アングリーパイレーツ)」の山内敏男についての詳細を聞き、キャバレー・サンチャゴに赴いた。そして「怒れる海賊たち(アングリーパイレーツ)」のステージを見、コイちゃん事山内小雪の容姿が由香利に生き写しだと戦慄する。そして、小雪のステージの途中由香利が現れ無言の対決を目にする。

金田一耕助は先日本條直吉に依頼された調査の報告書を本條写真館に持参した。その時直吉は不在だったので、父親の徳兵衛に調査結果を手渡した。その時小賢しい兵頭房太郎がウィンドウに飾っていた法眼家の写真を見、本條写真館と法眼家が長の付き合いである事を知った。そしてその足で高輪署の加納刑事を訪ねた。

本條直吉が帰宅し父から金田一耕助の事を聞いている時、電話が鳴った。先日依頼のあったお嬢さんより、今夜先日の家に風鈴が掛かっているので撮影して欲しいと依頼がある。そして、徳兵衛、直吉、兵頭房太郎の3人で件の家に撮影に出かけた。

病院坂上の派出所に勤務している寺坂巡査は、以前届け出のあった、空家での騒ぎが気になり、巡回していた。そして、その夜、家の中より閃光があり、又何かあるのかと思い、確認しようとした。そうすると奥の方より足あとが近づき懐中電灯をかざすと「怒れる海賊たち(アングリーパイレーツ)」の見習いの加藤謙三だった。
寺坂巡査が中に入って見たものは、本條写真館の3人が撮影している風鈴の様なものが、人間の生首だった。

生首はビンちゃん事山内敏男だった。寺坂巡査はすぐさま高輪署に連絡した。その場にいた金田一耕助と等々力警部も驚き現場にやってきた。
聴取は「怒れる海賊たち(アングリーパイレーツ)」のメンバーと本條写真館の3人。その場に居たメンバー以外の佐川哲也が容疑者となったが、その時哲也は狂騒状態だったので事情聴取ができなかったが、多門修という確かなアリバイ証明があり、容疑は晴れたが、少し前より連絡の取れないコイちゃん事小雪が行方知れずのままだった。
そして高輪署捜査当局宛てに1通の手紙が届いた。それは小雪からの犯行の自供の手紙であり、遺書であった。そして探さないで欲しいとの願いであった。

金田一耕助が山内敏男と小雪の報告の為法眼家の弥生を訪ねた。生首風鈴事件のあった時、法眼家に報告の電話を入れたが、その時由香利と滋が結婚し、アメリカに行った事を聞いていたのでお祝いを述べ、由香利たちがロスアンゼルスに居る事を弥生より聞いた。そして、事件のあらましを説明した時、山内敏男と小雪の住まいにはなぜが指紋が何も残されていなかった事も報告した。

半年後耕助のもとにロスアンゼルスより小包が届いた。その中身は指紋の付いたシャンパングラスだった。

と長々と書いてしまいましたが、これが、上巻です。
横溝正史の作品を纏めるのは大変だわ。ザクっと簡単に書いてしまうと、横溝正史のすごさが伝わらない。
なので、長期休みをいい事に長々とネタバレ書いてしまいました。
明日は雨らしいので、ウォーキングも行けないし、食材の買い物も今日済ましているので、頑張って下巻のネタバレでも書きます。







病院坂の首縊りの家―金田一耕助最後の事件 (1978年) (角川文庫)

病院坂の首縊りの家―金田一耕助最後の事件 (1978年) (角川文庫)

  • 作者: 横溝 正史
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2021/04/27
  • メディア: 文庫



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